話題の本【書評】(2024年9月~) - 2024.10.31
うつは、治す努力をやめれば治る
箱庭療法と森田療法の併用の事例と実践
「あるがまま」「お任せ」のこころが病を癒やす。新型うつ、強迫性パーソナリティ障害、境界例、 多重人格など、7つの事例をもとに、延べ2万人を治療したお寺の診療活動の実践と理論を解説。推薦=帯津良一
はじめに
第1章 箱庭療法と外来森田療法との併用療法
1 なぜ寺に「心理相談室」を開いたのか
他力的体験としての自然治癒力
「治す」ことから「任せる」ことへ
アジールとしての寺を目指して
2 相談室を訪れる人々について
3 心理療法はどのように行われるか
治療者、患者間で「間」を作ること
自由で保護された場所
自然治癒力の賦活 箱庭表現に中心化が明確になる
外来森田療法の導入
「執われ」をそのままにしておけるようになる
4 他の心理療法との比較
「対自的関係性」を重視する
5 ネオ森田療法
(1)箱庭療法とは何か?
従来の箱庭療法と瞑想箱庭療法
瞑想箱庭療法の効果とは
(2)森田療法とは?
森田神経質とは
(3)なぜ、二つの療法が併用されなければならないのですか?
複雑・多様化してきた精神症状 森田神経質非定型群の増加
自覚から日常生活へ
二つの心理療法のコンビネーションの流れ
第2章 精神科診断について
1 精神科診断について
原因を分類する従来の診断について
現れている症状だけで診断するDSM-Ⅳ-TRの診断
2 森田正馬の診断法
森田神経質診断基準
DSMをはじめとする精神科診断基準の曖昧性
第3章 森田神経質とその他の事例
森田神経質の事例
1 A子さんの事例 うつ病性障害(大うつ病)、自己愛性パーソナリティ障害
「私は生まれて初めて「自分自身の人生」を発見しました。」
1 A子さんの見立てについて
A子さんとバブルの期の終焉
A子さんに対する心理士の見立てについて
大うつ病性エピソード
自己愛性パーソナリティ障害
A子さんの人生模様
2 第一期 箱庭療法(前期・・・一三回/四か月)
A子さんが面接の「場」に融合する
最初の中心化
3 第一期 箱庭療法(後期・・・二七回/一年)
うつ状態の悪化を通して世界観を転換していく体験
「死のトンネル」を抜けたA子さん
心理療法における「他力仏教」と類似の体験
4 第二期 外来森田療法(前期・・・二〇回/一〇か月)
日記の書き方
「自信のなさ」や「不安感」をそのままにしておく
「かくあるべし」(思想の矛盾)から自由になる
5 第二期 外来森田療法(後期・・・一〇回/八か月)
「純な心」の言葉と同時にやってくる「未来」
流れていく時間を体験するA子さん
2 B男さんの事例 新型うつ
「ほんとうは、これでよかったのです」
1 B男さんの見立て
新型うつと森田神経質との関係
B男さんの挫折
2 第一期 箱庭療法(前期・・・全一五回/八か月)
B男さんのよそよそしさ
「場」にようやく融合できたB男さん
3 第二期 外来森田療法(前期・・・一〇回/五か月)
仕事に集中できない自分を受け入れる
「気分本位」から「事実本位」へ、そして五感が開かれること
たとえ症状が消えてもなくなることのない「我執」の問題
3 C男さんの事例 脅迫性パーソナリティ障害
「仕事に意味を求めすぎてしまいました」
1 C男さんの見立て
脅迫性パーソナリティ障害とは?
人生の後半を迎え会社の仕事に行き詰まったC男さん
2 第一期 箱庭療法(前期・・・一二回/六か月)
箱庭療法に抵抗を示すC男さん
箱庭でのフュージョン体験
諦念の中からの出発
3 第二期 外来森田療法(後期・・・一〇回/四か月)
「何々をしたから必ず~なる」(因果論)が疑わしくなりました
「ねばならない」は身体感覚を変えることで変化する
4 D子先生の事例 大うつ病、脅迫性パーソナリティ障害
「人生にはもう一つの意味があるようです」
ベテラン教師の傷つき
1 第一期 箱庭療法(一〇回/五か月)
少女のような箱庭作品
相反する感情を抱えての復帰
2 第二期 外来森田療法(一二回/六か月)
症状の再発
恐怖に突入することで見えてきた「今を生きる子どもたち」の姿
陽炎のように流れる時間の体験
5 E男さんの事例 気分変調性障害、回避性パーソナリティ障害
「自宅の外は会社だけの世界ではありませんでした」
1 E男さんの見立て
「引きこもり」と「回避性パーソナリティ障害」の関係
2 第一期 箱庭療法(前期・・・一五回/八か月)
面接室への融合と治療者と家族との協力を図った期間
「髭くらい剃ってきてくださいよ」
母親に来所をお願いする 母親との悪循環(「精神交互作用」)の指摘
3 第一期 箱庭療法(後期・・・二五回/五か月)
農作業を始める
4 第二期 外来森田療法(前期・・・七回/四か月)
アルバイトを始める
「対人関係に注意を向けるより、与えられた仕事に関心を向けてください」
5 第二期 外来森田療法(後期・・・八回/四か月)
「こころの外の世界」にはアジサイの花が咲いていた
森田神経質とは異なる重症例の事例
6 F子さんの事例 境界性パーソナリティ障害
「暴れることに飽きました」
「森田神経質」とは異なる重症例の事例
1 F子さんの見立て
境界性パーソナリティ障害とは
怒りを抑えられないF子さん
「愛」に飢えるという人生
2 第一期 箱庭療法(前期・・・八回/四か月)
3 第一期 箱庭療法(後期・・・二二回/七か月)
相反する気持ちに直面する
「愛を乞うこと」を少しずつ断念していくこと
4 第二期 外来森田療法(前期一二回/六か月)
対人関係にまつわる感情よりも身体感覚を大切に!
5 第二期 外来森田療法(後期・・・一一回/六か月)
否定的な感情を「そのまま」にしておくこと
7 G子さんの事例 解離性障害(多重人格)
「こころの友達はもういらない」
1 G子さんの見立て
ヒステリーと解離性障害
2 第一期 箱庭療法(前期・・・一一回/六か月)
箱庭に表現された「もうひとつの世界」
3 第一期 箱庭療法(中期・・・九回/五か月)
トラウマの想起
「愛」と「憎しみ」との葛藤
4 第一期 箱庭療法(後期・・・八回/四か月)
さよなら「心の友達」
5 第二期 外来森田療法(前期・・・八回/四か月)
生活ルーティンを整えること
6 第二期 外来森田療法(後期・・・一一回/六か月)
健康な「生の欲望」を支持すること
結章 理論編
はじめに
1 森田療法とユング心理学との共通性としての「東洋的自己」について
2 新しい「瞑想箱庭療法」について
(1)従来の「瞑想箱庭療法」と新しい「瞑想箱庭療法」の違い
(2)「瞑想箱庭療法」と「場(場所)」の思想
(3)なぜ患者の自然治癒力が賦活化するのか
(4)外来森田療法における工夫
「感情」と「行動」との分離について
ユングのタイプ論を応用する
おわりに
付論:パーソナリティ障害を伴ううつ病性障害に対する精神療法の検討 箱庭療法施行後の外来森田療法追加施行の有効性
注
あとがき
第1章 箱庭療法と外来森田療法との併用療法
1 なぜ寺に「心理相談室」を開いたのか
他力的体験としての自然治癒力
「治す」ことから「任せる」ことへ
アジールとしての寺を目指して
2 相談室を訪れる人々について
3 心理療法はどのように行われるか
治療者、患者間で「間」を作ること
自由で保護された場所
自然治癒力の賦活 箱庭表現に中心化が明確になる
外来森田療法の導入
「執われ」をそのままにしておけるようになる
4 他の心理療法との比較
「対自的関係性」を重視する
5 ネオ森田療法
(1)箱庭療法とは何か?
従来の箱庭療法と瞑想箱庭療法
瞑想箱庭療法の効果とは
(2)森田療法とは?
森田神経質とは
(3)なぜ、二つの療法が併用されなければならないのですか?
複雑・多様化してきた精神症状 森田神経質非定型群の増加
自覚から日常生活へ
二つの心理療法のコンビネーションの流れ
第2章 精神科診断について
1 精神科診断について
原因を分類する従来の診断について
現れている症状だけで診断するDSM-Ⅳ-TRの診断
2 森田正馬の診断法
森田神経質診断基準
DSMをはじめとする精神科診断基準の曖昧性
第3章 森田神経質とその他の事例
森田神経質の事例
1 A子さんの事例 うつ病性障害(大うつ病)、自己愛性パーソナリティ障害
「私は生まれて初めて「自分自身の人生」を発見しました。」
1 A子さんの見立てについて
A子さんとバブルの期の終焉
A子さんに対する心理士の見立てについて
大うつ病性エピソード
自己愛性パーソナリティ障害
A子さんの人生模様
2 第一期 箱庭療法(前期・・・一三回/四か月)
A子さんが面接の「場」に融合する
最初の中心化
3 第一期 箱庭療法(後期・・・二七回/一年)
うつ状態の悪化を通して世界観を転換していく体験
「死のトンネル」を抜けたA子さん
心理療法における「他力仏教」と類似の体験
4 第二期 外来森田療法(前期・・・二〇回/一〇か月)
日記の書き方
「自信のなさ」や「不安感」をそのままにしておく
「かくあるべし」(思想の矛盾)から自由になる
5 第二期 外来森田療法(後期・・・一〇回/八か月)
「純な心」の言葉と同時にやってくる「未来」
流れていく時間を体験するA子さん
2 B男さんの事例 新型うつ
「ほんとうは、これでよかったのです」
1 B男さんの見立て
新型うつと森田神経質との関係
B男さんの挫折
2 第一期 箱庭療法(前期・・・全一五回/八か月)
B男さんのよそよそしさ
「場」にようやく融合できたB男さん
3 第二期 外来森田療法(前期・・・一〇回/五か月)
仕事に集中できない自分を受け入れる
「気分本位」から「事実本位」へ、そして五感が開かれること
たとえ症状が消えてもなくなることのない「我執」の問題
3 C男さんの事例 脅迫性パーソナリティ障害
「仕事に意味を求めすぎてしまいました」
1 C男さんの見立て
脅迫性パーソナリティ障害とは?
人生の後半を迎え会社の仕事に行き詰まったC男さん
2 第一期 箱庭療法(前期・・・一二回/六か月)
箱庭療法に抵抗を示すC男さん
箱庭でのフュージョン体験
諦念の中からの出発
3 第二期 外来森田療法(後期・・・一〇回/四か月)
「何々をしたから必ず~なる」(因果論)が疑わしくなりました
「ねばならない」は身体感覚を変えることで変化する
4 D子先生の事例 大うつ病、脅迫性パーソナリティ障害
「人生にはもう一つの意味があるようです」
ベテラン教師の傷つき
1 第一期 箱庭療法(一〇回/五か月)
少女のような箱庭作品
相反する感情を抱えての復帰
2 第二期 外来森田療法(一二回/六か月)
症状の再発
恐怖に突入することで見えてきた「今を生きる子どもたち」の姿
陽炎のように流れる時間の体験
5 E男さんの事例 気分変調性障害、回避性パーソナリティ障害
「自宅の外は会社だけの世界ではありませんでした」
1 E男さんの見立て
「引きこもり」と「回避性パーソナリティ障害」の関係
2 第一期 箱庭療法(前期・・・一五回/八か月)
面接室への融合と治療者と家族との協力を図った期間
「髭くらい剃ってきてくださいよ」
母親に来所をお願いする 母親との悪循環(「精神交互作用」)の指摘
3 第一期 箱庭療法(後期・・・二五回/五か月)
農作業を始める
4 第二期 外来森田療法(前期・・・七回/四か月)
アルバイトを始める
「対人関係に注意を向けるより、与えられた仕事に関心を向けてください」
5 第二期 外来森田療法(後期・・・八回/四か月)
「こころの外の世界」にはアジサイの花が咲いていた
森田神経質とは異なる重症例の事例
6 F子さんの事例 境界性パーソナリティ障害
「暴れることに飽きました」
「森田神経質」とは異なる重症例の事例
1 F子さんの見立て
境界性パーソナリティ障害とは
怒りを抑えられないF子さん
「愛」に飢えるという人生
2 第一期 箱庭療法(前期・・・八回/四か月)
3 第一期 箱庭療法(後期・・・二二回/七か月)
相反する気持ちに直面する
「愛を乞うこと」を少しずつ断念していくこと
4 第二期 外来森田療法(前期一二回/六か月)
対人関係にまつわる感情よりも身体感覚を大切に!
5 第二期 外来森田療法(後期・・・一一回/六か月)
否定的な感情を「そのまま」にしておくこと
7 G子さんの事例 解離性障害(多重人格)
「こころの友達はもういらない」
1 G子さんの見立て
ヒステリーと解離性障害
2 第一期 箱庭療法(前期・・・一一回/六か月)
箱庭に表現された「もうひとつの世界」
3 第一期 箱庭療法(中期・・・九回/五か月)
トラウマの想起
「愛」と「憎しみ」との葛藤
4 第一期 箱庭療法(後期・・・八回/四か月)
さよなら「心の友達」
5 第二期 外来森田療法(前期・・・八回/四か月)
生活ルーティンを整えること
6 第二期 外来森田療法(後期・・・一一回/六か月)
健康な「生の欲望」を支持すること
結章 理論編
はじめに
1 森田療法とユング心理学との共通性としての「東洋的自己」について
2 新しい「瞑想箱庭療法」について
(1)従来の「瞑想箱庭療法」と新しい「瞑想箱庭療法」の違い
(2)「瞑想箱庭療法」と「場(場所)」の思想
(3)なぜ患者の自然治癒力が賦活化するのか
(4)外来森田療法における工夫
「感情」と「行動」との分離について
ユングのタイプ論を応用する
おわりに
付論:パーソナリティ障害を伴ううつ病性障害に対する精神療法の検討 箱庭療法施行後の外来森田療法追加施行の有効性
注
あとがき