新聞掲載広告(2024年9月~) - 2025.08.22
神異僧と美術伝播
本書でとりわけ注目される神異僧の劉薩荷(りゅうさっか)は、中国では聖人と崇敬される一方で、日本では冥界の罪人として描かれる(『六道絵』極楽寺所蔵)など、日中でのまったく異なる性質に近年注目が集まっている。
文学、美術、伝承など様々な媒体に登場する彼ら神異僧の存在は、学際的視野のもと、仏教美術研究の新たな可能性を秘めている。
本書は、2017年に大和文華館で開催された、神異僧をめぐるシンポジウムをもとにした画期的な論文集である。
神異僧をめぐって
神異僧の霊験譚
第二章 中国の神異僧―劉薩訶の信仰と美術
神異僧図を軸とした美術作品の伝播と受容の様相
劉薩訶、涼州瑞像信仰と中世歴史地理
劉薩訶の美術
第三章 日本における神異説話の受容と展開
極楽寺本六道絵の制作の構想について
極楽寺本六道絵に描かれた器物等に関する考察
第四章 神異表現を起点とした作品研究の広がり
唐代法津禅師の墓誌銘と塔銘研究
山西博物院蔵絹本地蔵十王像研究
結語―神異僧研究の展望