神異僧と美術伝播

不可思議な事績を示した神異僧を紐帯として繋がり合う仏教美術。美術伝播の様相を読み解く。

著者 百橋 明穂
田林 啓
出版社 中央公論美術出版
ジャンル 美術
出版年月日 2021/02/28
ISBN 9784805508886
判型・ページ数 A5・256ページ
定価 本体3,600円+税
在庫 在庫あり
「神異僧」(じんいそう)とは、主に中国を中心とする東アジアの仏教文化において、常人ならざる法力でもって生前・没後に怪異・奇跡を起こし、崇敬を集めた僧侶のこと。
本書でとりわけ注目される神異僧の劉薩荷(りゅうさっか)は、中国では聖人と崇敬される一方で、日本では冥界の罪人として描かれる(『六道絵』極楽寺所蔵)など、日中でのまったく異なる性質に近年注目が集まっている。
文学、美術、伝承など様々な媒体に登場する彼ら神異僧の存在は、学際的視野のもと、仏教美術研究の新たな可能性を秘めている。
本書は、2017年に大和文華館で開催された、神異僧をめぐるシンポジウムをもとにした画期的な論文集である。
第一章 神異僧研究への誘い
 神異僧をめぐって
 神異僧の霊験譚

第二章 中国の神異僧―劉薩訶の信仰と美術
 神異僧図を軸とした美術作品の伝播と受容の様相
 劉薩訶、涼州瑞像信仰と中世歴史地理
 劉薩訶の美術

第三章 日本における神異説話の受容と展開
 極楽寺本六道絵の制作の構想について
 極楽寺本六道絵に描かれた器物等に関する考察

第四章 神異表現を起点とした作品研究の広がり
 唐代法津禅師の墓誌銘と塔銘研究
 山西博物院蔵絹本地蔵十王像研究

結語―神異僧研究の展望

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