堕落と復興の近代中国仏教

日本仏教との邂逅とその歴史像の構築

我々が知る近代中国仏教の歴史像は、日本人が作ったイメージに過ぎなかった。アジア仏教史研究の視座とその前提を問い直す。

著者 エリック・シッケタンツ
出版社 法藏館
ジャンル 各地域仏教 > 中国・朝鮮
出版年月日 2016/07/25
ISBN 9784831877093
判型・ページ数 A5・396ページ
定価 本体5,000円+税
在庫 在庫あり
我々が知る近代中国仏教の歴史像は、日本人が作ったイメージに過ぎなかった。国際的に活躍する気鋭の研究者が、近代における中国仏教と日本仏教の出会いが生み出した、近代中国仏教の自画像形成の過程を闡明し、アジア仏教史研究の視座とその前提を問い直す。
序 論
中国の近代
中国仏教における堕落と復興をめぐる議論
近代日本仏教の大陸布教 
日中仏教における思想的交流
本書の構成 

第一章 明治・大正期における日本人仏教者の中国仏教観とその思想的背景
 第一節 課題の設定 
 第二節 近代日本人仏教者の中国仏教観と廃墟
 「形式仏教」
 第三節 過去と現在の中国仏教 
 第四節 日本人仏教者の中国仏教観と日本仏教の使命
 第五節 日本仏教に基づいた中国仏教理解
 小栗栖香頂の中国仏教観 
 第六節 中国に渡った日本人仏教者の宗派意識
 第七節 昭和初期における鈴木大拙の中国滞在
 第八節 小  結

第二章 近代中国における仏教堕落論
 第一節 課題の設定
 第二節 先行研究と中国仏教堕落問題
 第三節 近代仏教者敬安における仏教衰頽論
 第四節 末法思想とその役割
 第五節 末法意識と近代中国の危機 
 第六節 亡国危機と経世仏学 
 第七節 末法のナショナライゼーション
 第八節 太虚における堕落言論と宗派概念
 第九節 宗派と仏教の堕落と復興
 第十節 小  結

第三章 近代中国仏教における宗派概念とそのポリティクス
 第一節 課題の設定
 第二節 宗派概念と近代日中仏教交流
 第三節 近代日本の中国仏教史研究と近代
 第四節 近代日本の中国仏教史研究と宗派概念
 第五節 境野黄洋の中国仏教史研究 
 第六節 境野黄洋以後の仏教史研究 
 第七節 中国仏教と宗派概念 
 第八節 近代中国仏教における日本的宗派概念の受容 
 第九節 中国における凝然の宗派モデルの普及 
 第十節  民国期仏教界における中国仏教史認識と近代日本の仏教研究 
 第十一節 宗派中心的な仏教史の語りの転用 
 第十二節 根強い宗派概念 
 第十三節 小  結 

第四章 民国期の密教復興
 第一節 課題の設定 
 第二節 密教復興に関する先行研究 
 第三節 民国期における密教復興の展開 
 第四節 日本的中国仏教史観と密教復興 
 第五節 先行研究における王弘願の位置づけ 
 第六節 王弘願の生涯と震旦密教重興会の興廃 
 第七節 王弘願の思想的背景 
 女人成仏
 即身成仏 
 王弘願の政治・社会思想 
 第八節 王弘願における平等概念と密教思想 
 第九節 太虚派との論争 
 第十節 中国人仏教者における日本仏教観 
 第十一節 戒律を破壊する日本密教 
 第十二節 戒律破壊による仏教制度の破壊
 第十三節 太虚の改革仏教体制における密教の位置づけ 
 第十四節 震旦密教重興会からの反論 
 第十五節 小  結 

結 論

参考文献一覧
あとがき
索 引

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