新聞掲載広告(2024年9月~) - 2024.11.19
東大寺のなりたち 【岩波新書 新赤版1726】
華厳宗大本山東大寺。聖武天皇の発願に始まるこの寺院は、古来どのような存在意義を有してきたのか。入寺から約70年。東大寺長老である著者は、その問いかけの答えを創建時代の歴史に求めてゆく。朝廷内の政争と陰に陽に絡みながらも、救済の寺としての道を歩んだ東大寺のなりたちを解き明かす。
はじめに
第一章 東大寺前史を考える
一 山房の時代
皇太子の夭折と山房/『東大寺要録』編纂者の認識/法華堂創建年次の通説/須弥壇解体修理に伴う新発見/山房は果たして,ささやかなお堂か/東大寺山堺四至図/山堺四至図の山房道/香山寺も山房のうち
二 金鍾・福寿寺の時代
山房から金鍾山房・福寿寺へ/光明皇后の写経事業/福寿寺の建立/金鍾寺か金鐘寺か/金鍾山寺・福寿寺から大養徳国金光明寺へ
三 大養徳国金光明寺の時代
国分寺構想の発露/大養徳国金光明寺の意義/大養徳国金光明寺の寺観/丈六堂の所在地/平城京還都による状況の一変/丈六堂の処分と法華堂/大仏造像工事再開に向けて
第二章 責めは予一人にあり――聖武天皇の政治観
一 学習の時代
なぜ盧舎那大仏造立を願ったか/法と国家観/経史とは何か/官人制度改革/釈教に学ぶ/盧舎那像讃一首并序の筆写/初めて冕服を着す/経史から釈教へ
二 政治の真価とは何か
責めは予一人にあり/班田収授法の行き詰まり/困窮者への米穀等の支給/逃亡者・浮浪人の現住地登録/頻繁な米穀支給と減税措置/地方行政官に対するアメとムチ
三 仏教思想による民心の救い
人心一新の課題/国分二寺建立の詔/仏教の啓蒙/墾田永年私財法の発布/盧舎那大仏造立の詔第
三章 宗教共同体として
一 天皇の出家と譲位
黄金産出/三宝の奴/寺院に墾田地許可/産金慶賀の具体化/十二大寺への勅書/出家の動機
二 寺院と墾田地
諸寺墾田地上限額の制定/なぜ東大寺は四〇〇〇町なのか/占定の有効期限
三 寺院形態への模索
僧制の起源/律令制下の僧侶/行基の登場/優婆塞・優婆夷/出家の規制を打ち破る新制度/労役奉仕の日数/造東大寺司所属の優婆塞
四 国分寺と東大寺
国分寺の入寺資格/五明による教育/僧侶養成機関としての東大寺/六宗兼学/僧侶集団の規模/奴婢の実態
第四章 盧舎那大仏を世界に
一 開眼供養会へ向けて
藤原仲麻呂,大納言となる/紫微中台の創設/宇佐八幡神の東大寺参拝/揃って東大寺に行幸/遣唐使・遣新羅使の任命/新たな僧綱の任命/開眼師らに招請の勅書
二 大仏開眼会の盛儀
開眼供養会への準備/開眼法会次第/内外の歌舞音楽を奏する/大蔵省から出仕僧らに布施
三 新羅はなぜ大使節団を派遣したか
新羅使入京/律令制下の新羅の位置づけ/東アジアにおける華厳の隆盛/新羅王子金泰廉の奏上/孝謙天皇よりの言葉
四 聖武太上天皇の晩年
鑑真和上ら来朝/左大臣橘諸兄,致仕する/聖武太上天皇崩御
第五章 政争のはざまで
一 権謀術数をめぐらす仲麻呂
道祖王を廃し,大炊王を皇太子に/橘奈良麻呂の変/大炊王の即位/仲麻呂は朕が父/東大寺封戸処分勅書/孝謙太上天皇と淳仁天皇との不和
二 仲麻呂の排除
仲麻呂暗殺計画/慈訓の解任と道鏡の新任/吉備真備,造東大寺長官となる/授刀衛が孝謙方に/仕掛けたのは孝謙太上天皇/造東大寺司と東大寺の活躍/公的記録から消された良弁と安寛
三 称徳天皇重祚
淳仁天皇の廃位/宇佐八幡神託事件
四 政争ふたたび
白壁王立太子の策謀/廃后と立太子
第六章 新たな天皇大権の確立
一 仏教界の綱紀粛正
僧尼の度縁は治部省に/良弁僧正遷化/僧尼籍の確認調査/在京国分寺僧尼の本国送還/死亡した僧尼の名を冒称/僧綱に綱紀粛正を促す
二 仏教勢力の排除
桓武天皇の即位/国分寺僧交替の厳格化/定額寺への施入売易の禁止/諸寺の利殖行為を厳禁/教律に従わない僧侶の処罰
三 藤原種継暗殺事件
遷都への構想/藤原種継の暗殺/早良親王と東大寺/造東大寺司の廃止/不運たび重なる
四 平安京で構想新たに
早良親王の鎮魂/東大寺封戸の削減/酒人内親王献入帳/大仏の頭部落ちる/御頭供養会の盛儀
参考文献
略年表
結びにかえて
第一章 東大寺前史を考える
一 山房の時代
皇太子の夭折と山房/『東大寺要録』編纂者の認識/法華堂創建年次の通説/須弥壇解体修理に伴う新発見/山房は果たして,ささやかなお堂か/東大寺山堺四至図/山堺四至図の山房道/香山寺も山房のうち
二 金鍾・福寿寺の時代
山房から金鍾山房・福寿寺へ/光明皇后の写経事業/福寿寺の建立/金鍾寺か金鐘寺か/金鍾山寺・福寿寺から大養徳国金光明寺へ
三 大養徳国金光明寺の時代
国分寺構想の発露/大養徳国金光明寺の意義/大養徳国金光明寺の寺観/丈六堂の所在地/平城京還都による状況の一変/丈六堂の処分と法華堂/大仏造像工事再開に向けて
第二章 責めは予一人にあり――聖武天皇の政治観
一 学習の時代
なぜ盧舎那大仏造立を願ったか/法と国家観/経史とは何か/官人制度改革/釈教に学ぶ/盧舎那像讃一首并序の筆写/初めて冕服を着す/経史から釈教へ
二 政治の真価とは何か
責めは予一人にあり/班田収授法の行き詰まり/困窮者への米穀等の支給/逃亡者・浮浪人の現住地登録/頻繁な米穀支給と減税措置/地方行政官に対するアメとムチ
三 仏教思想による民心の救い
人心一新の課題/国分二寺建立の詔/仏教の啓蒙/墾田永年私財法の発布/盧舎那大仏造立の詔第
三章 宗教共同体として
一 天皇の出家と譲位
黄金産出/三宝の奴/寺院に墾田地許可/産金慶賀の具体化/十二大寺への勅書/出家の動機
二 寺院と墾田地
諸寺墾田地上限額の制定/なぜ東大寺は四〇〇〇町なのか/占定の有効期限
三 寺院形態への模索
僧制の起源/律令制下の僧侶/行基の登場/優婆塞・優婆夷/出家の規制を打ち破る新制度/労役奉仕の日数/造東大寺司所属の優婆塞
四 国分寺と東大寺
国分寺の入寺資格/五明による教育/僧侶養成機関としての東大寺/六宗兼学/僧侶集団の規模/奴婢の実態
第四章 盧舎那大仏を世界に
一 開眼供養会へ向けて
藤原仲麻呂,大納言となる/紫微中台の創設/宇佐八幡神の東大寺参拝/揃って東大寺に行幸/遣唐使・遣新羅使の任命/新たな僧綱の任命/開眼師らに招請の勅書
二 大仏開眼会の盛儀
開眼供養会への準備/開眼法会次第/内外の歌舞音楽を奏する/大蔵省から出仕僧らに布施
三 新羅はなぜ大使節団を派遣したか
新羅使入京/律令制下の新羅の位置づけ/東アジアにおける華厳の隆盛/新羅王子金泰廉の奏上/孝謙天皇よりの言葉
四 聖武太上天皇の晩年
鑑真和上ら来朝/左大臣橘諸兄,致仕する/聖武太上天皇崩御
第五章 政争のはざまで
一 権謀術数をめぐらす仲麻呂
道祖王を廃し,大炊王を皇太子に/橘奈良麻呂の変/大炊王の即位/仲麻呂は朕が父/東大寺封戸処分勅書/孝謙太上天皇と淳仁天皇との不和
二 仲麻呂の排除
仲麻呂暗殺計画/慈訓の解任と道鏡の新任/吉備真備,造東大寺長官となる/授刀衛が孝謙方に/仕掛けたのは孝謙太上天皇/造東大寺司と東大寺の活躍/公的記録から消された良弁と安寛
三 称徳天皇重祚
淳仁天皇の廃位/宇佐八幡神託事件
四 政争ふたたび
白壁王立太子の策謀/廃后と立太子
第六章 新たな天皇大権の確立
一 仏教界の綱紀粛正
僧尼の度縁は治部省に/良弁僧正遷化/僧尼籍の確認調査/在京国分寺僧尼の本国送還/死亡した僧尼の名を冒称/僧綱に綱紀粛正を促す
二 仏教勢力の排除
桓武天皇の即位/国分寺僧交替の厳格化/定額寺への施入売易の禁止/諸寺の利殖行為を厳禁/教律に従わない僧侶の処罰
三 藤原種継暗殺事件
遷都への構想/藤原種継の暗殺/早良親王と東大寺/造東大寺司の廃止/不運たび重なる
四 平安京で構想新たに
早良親王の鎮魂/東大寺封戸の削減/酒人内親王献入帳/大仏の頭部落ちる/御頭供養会の盛儀
参考文献
略年表
結びにかえて