増訂　日本占領と宗教改革

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「人間宣言」や「神道指令」など、ＧＨＱ占領下の日本で進められた「国家神道」解体政策。その実態と顛末を、神道とキリスト教の相克を軸に、壮大な視点と精緻な史料分析で描き出す。戦後宗教政策と日米関係の核心に迫った秀作。

序　章
１　研究目的・意義／２　問題の所在／３　研究方法／４　先行研究／５　本著の構成／６　本著の概要

第１章　無条件降伏と米国の対日占領政策
序　節
第１節　マッカーサー元帥
１　無条件降伏／２　マッカーサーの戦後世界観
第２節　「神話」と「ナショナリズム」
１　神話とは／２　「国家機軸」の創出／３　国家神道／４　祭祀と宗教の分離
第３節　精神革命
１　精神的武装解除／２　精神的空白とタブラ・ラサ（tabula rasa）／３　キリスト教と宣教師／４　解放者・マッカーサー
第４節　宗教改革
１　宗教政策／２　米国の対日政策／３　天皇制の温存と心理作戦／４　民間情報教育局（Civil Information and Education Section：ＣＩＥ）／５　ヴィンセント放送／６　政教分離／７　まとめ

第２章　「人間宣言」と「現御神」天皇論考
序　節
第１節　「人間宣言」渙発の経緯
１　幣原喜重郎首相の証言／２　レジナルド・ブライス／３　ヘンダーソン草案／４　大金私案／５　失意ノ淵ニ沈淪／６　文部大臣・前田多門／７　五箇条の御誓文／８　侍従次長・木下道雄／９　大詔渙発／１０　自発的か、押しつけか／資料：「人間宣言」の成立経緯／資料：「人間宣言」全文
第2節　「現御神」天皇論考
１　「Divine」をめぐる認識／２　「Divine」から「現御神」へ／３　「現御神」とは／４　南原繁と矢内原忠雄／５　国体と天皇／資料：主要祭儀一覧／６　「神に祈る」と「神を祈る」／７　古事記の世界観／８　津田左右吉の天皇観
第３節　天皇「神格化」のメカニズム
１　天皇の位置性（Positionality）／２　五・一五事件／３　美濃部達吉の天皇機関説／４　国体明徴運動／５　二・二六事件／６　天皇の神格化／７　「君民一体」から「君民分離」へ／８　「人間宣言」による天皇の位置性（Positionality）の変化／９　「人間宣言」と三島由紀夫／１０　まとめ

第３章　国家神道論―「神道指令」と「国体護持」―
序　節
第１節　「神道指令」発令
１　神道指令／２　残された皇室祭祀／３　「神道指令」をめぐる日本側の工作／資料：「神道指令」英文／資料：「神道指令」和文
第２節　「神道指令」の裏舞台
１　「神道指令」と「神社非宗教説」／２　姉崎正治と国体護持／３　陰の立役者・岸本英夫／４　カトリック神父の非公式見解／５　ロバート・Ｋ・ホール少佐の「神道指令」第二次草案／６　姉崎正治とダイク大佐会談／７　ウィリアム・Ｋ・バンス課長の国家神道論／８　吉田茂理事とバンス会談／９　上智学院院長ブルノー・ビッテル神父と靖国神社／１０　靖国神社臨時大招魂祭／１１　伊勢神宮／１２　日本政府とバンス会談／１３　「神道指令」の部内調査／１４　「神道指令」と「ハーグ陸戦条約」／１５　日本政府とバンス会談：二回目／１６　「神道指令」と「国体」／１７　日本政府とバンス会談：三回目／１８　終戦連絡中央事務局（Central Liaison Office：ＣＬＯ）／資料：「神道指令」の経緯
第３節　「神道指令」と象徴天皇制　
１　天皇の「信教の自由」／２　祭祀観の変化と「象徴天皇」の意義／３　象徴天皇と皇室祭祀／４　皇室祭祀の公的性／５　日本型象徴天皇制／６　まとめ

第４章　占領・民主主義・キリスト教
序　節
第１節　宮中改革とヴァイニング夫人
１　宮中改革／２　天皇改宗の噂／３　天皇改宗と国体／４　ヴァイニング夫人招聘／５　昭和天皇と皇太子殿下／６　昭和天皇とヴァイニング夫人
第２節　ボナー・フェラーズと国体護持
１　フェラーズ、ブライス、寺崎の裏工作／２　フェラーズと象徴天皇制／３　フェラーズからマッカーサーへの覚書／４　河井道とフェラーズ／５　昭和天皇とフェラーズ
第３節　キリスト教化運動
１　聖書とタバコ／２　キリスト教と教科書検定／３　言論の自由／４　キリスト教と学校教育／５　国際基督教大学設立計画／６　名誉会長・マッカーサー／７　日本銀行総裁・一万田尚登／８　逆コース／９　キリスト教布教の失敗
第４節　学校教育と宗教
１　宗教教育／２　キリスト教布教と「神道指令」の意義／３　バンスとマッカーサーの確執／４　「神道指令」と神道／５　「神道指令」とキリスト教／６　「神道指令」と憲法第二十条／７　前田多門の苦言／８　まとめ

終　章
１　「人間宣言」に対する新たな視座／２　「神道指令」に対する新たな視座／３　「象徴天皇制」と「神道指令」をめぐる新たな視座／４　占領下日本におけるキリスト教布教失敗に対する新たな視座／５　結　論

付　論　日本敗戦と教育勅語
はじめに／１　中村正直と井上毅／２　安倍文相・ダイク大佐会談：一回目／３　安倍文相・ダイク大佐会談：二回目／４　「日本政府主導案」とブライスの暗躍／５　ブライス情報／６　「京都勅語」とシーフェリン／７　有賀鐵太郎と「京都勅語」／８　「京都勅語」の評価／おわりに

後　書／増訂版後書／索　引