院政期天台教学の研究

宝地房証真の思想

平安時代から鎌倉時代初期の延暦寺僧証真の教説を、日本天台教学史上の結節点と捉え、法華教学における思想史的意義を解明する。

著者 松本 知己
出版社 法藏館
ジャンル 日本仏教 > 天台宗系
出版年月日 2019/09/10
ISBN 9784831873828
判型・ページ数 A5・455ページ
定価 本体9,000円+税
在庫 在庫あり
平安時代から鎌倉時代初期の延暦寺僧証真の教説を、日本天台教学史上の結節点と捉え、
法華教学における思想史的意義を解明する。
序論
 一 研究の目的
 二 先行研究と課題
 三 本書の構成

第一部 教判論と他宗観

第一章 証真の教判論
 一 問題の所在
 二 基本説
 三 頓と漸、及び湛然説への視覚
 四 八教摂不
 五 超八の円教
 六 小結

付論 毒発不定について
 一 問題の所在
 二 基本説
 三 証真の教相論
 四 小結

第二章 証真の教学と『法華玄論』
 一 問題の所在
 二 『法華疏私記』における立脚点
 三 『法華経』寿量品における顕本の理解
 四 証真による『法華玄論』援用箇所の取扱い
 五 小結

第三章 『註仁王護国般若波羅蜜経』の受容
 一 問題の所在
 二「三賢十聖住果報」と行位
 三 証真説の検討
 四 小結

第二部 二乗作仏論

第四章 『法華経』の授記をめぐる諸問題  
 一 問題の所在
 二 声聞授記と行位
 三 三種平等の理解
 四 決定在座
 五 千観の見解
 六 小結

第五章 廻心向大と方便有余土
 一 問題の所在
 二 方便有余土における廻心
 三 廻心向大と歴劫
 四 小結

第六章 不定教における二乗作仏
 一 問題の所在
 二『法華経』以外の経における二乗作仏
 三 不定教の意義
 四 同聴異聞の意義
 五 知・不知の基準
 六 小結

第三部 実践と断証、行位

第七章 証真の心識説
 一 問題の所在
 二 中国天台の九識説
 三 証真説の検討
 四 安然の教学との関連
 五 小結

第八章 『維摩経文疏』所説の三観について
 一 問題の所在
 二 三種三観と通相三観の梗概
 三 通相三観の教理的基盤に関する先行研究と問題点
 四 『維摩経文疏』における信行人・法行人
―行者実践の過程―
 五 通相三観説示の展開過程行
 六 小結

第九章 証真の教学における三種三観
 一 問題の所在
 二 基本説とその理解
 三 『法華経』以外の経典における円融三諦と通相三観
 四 一心三観と通相三観
 五 小結

第十章 証真の断惑論
 一 問題の所在
 二 天台教学における三惑とその断尽
 三 別惑の意義
 四 証真における「同体見思」
 五 三惑異時断の主張
 六 三惑同時断の主張
 七 小結

第十一章 元品能治について
 一 問題の所在
 二 基本説
 三 日本天台における議論の推移
 四 証真説の検討
 五 小結

第十二章 乾慧断惑と二入通―証真説を中心に―
 一 問題の所在
 二 名別義通の理解
 三 乾慧地における断惑
 四 証真説の検討
 五 乾慧断惑の位置づけ
 六 小結

第十三章 教証二道の報身について
 一 問題の所在
 二 教道報身の概要
 三 教道報身の論拠
 四 勝応身との関係
 五 小結

第四部 東大寺宗性と天台教学
 
第十四章 宗性が学んだ天台教学
 一 問題の所在
 二 宗性による天台教学習学の傾向と範囲
 三 建長五年の仙洞最勝講における論義と宗性の習学
 四 小結

第十五章 宗性筆『法華教主抄』に見える教主論
 一 問題の所在
 二 建長四年弘誓院御八講と『法華教主抄』
 三 『顕法華義抄』の教主義
 四 華厳教学への視角
 五 小結

付録 『法華教主抄』所収『顕法華義抄』佚文一覧

第十六章 宗性筆『法華文句第五巻抄』について
 一 問題の所在 
 二 寛元五年安楽心院御八講と『法華文句第五巻抄』
 三 『法華文句第五巻抄』の概要
 四 論義における宗性の実践
 五 小結

付録『法華文句第五巻抄』翻刻

初出一覧
あとがき
索引

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