運命を切り開く因果の法則

著者 伊藤 健太郎
出版社 1万年堂出版
ジャンル 哲学・思想 > 仏教哲学・思想
出版年月日 2015/06/01
ISBN 9784925253888
判型・ページ数 4-6・281ページ
定価 本体1,500円+税
在庫 お取り寄せ
どうすればつらい思いや怒りが消え、心の安らぎが得られるのか。 古代ギリシャのソクラテス、プラトンから20世紀のサルトルまで、世界の哲人は「幸せな運命」を探求してきました。本書は、哲学が運命の謎に挑んだ2500年の歩みをたどり、未来に向かって、前向きに生き抜く知恵を明らかにします。
はじめに
いかなる絶望にも、希望は注がれている。運命は信ずるものではなく、切り開くものだから……

本編へ入る前に
この本に登場する「哲学者」を紹介します
「哲学」とは「知を愛する」こと
運命の謎に挑んだ二千五百年の歩み

第1章
「自分は運が悪い」と嘆く人へ
「運命」は切り開くもの、と分かれば元気が出ます

1 なぜ、「これも運命か」と言いたくなるのか
「頑張れば幸せになれる」と、信じているのに、現実には、原因不明の災難や不幸が、実に多い

2 苦しみに直面した時に、「運が悪かった」「これは偶然だ」と思うと、苦しみは倍増していく――ショーペンハウエルの警告

3 「偶然、幸せになった」「たまたま災難に遭った」といえるのか
偶然とは「認識の欠陥」にすぎない、とスピノザは指摘する

4 この世の一切は、周囲のものに支えられ、関わり合って存在している。だから環境によって、結果は大きく変わる

5 「クレオパトラの鼻が、もう少し低かったら、世界は変わっていただろう」
大事は小事より起こる、と気づいたパスカルは、こんな名言を残した

6 なぜ、同じ天才画家でも、ゴッホは生涯、貧乏暮らしで、ピカソは億万長者になったのか
「縁」の違いが、結果を大きく左右する

7 他人の評価に一喜一憂していてもしかたがない
入学試験、オリンピック、仕事の成果……。表面の「結果」のみで判定するのが人間社会の特徴なのだから

8 幸・不幸は、自分の行為が作り出したもの
サルトルは、自業自得に例外がないことを、「人間の運命は、人間自身のなかにある」と表現している

第2章
「正直者はバカを見る」と憤慨する人に
「因果の法則」を知らされると、不満や恨みが消え、心の安らぎが得られます

1 ヘーゲルの忠告
「自分は、他人のせいで不当に苦しんでいる」と思っている人は、多くの間違いを犯し、悪循環に陥っていく

2 「天道、是か非か」
孔子も司馬遷も、現世の理不尽に泣いた
なぜ、真面目に生きても、不遇な人生で終わる人が多いのか

3 ソクラテスは、「どうすれば、幸せになれるのか」を、真剣に問い続けたのに、なぜ、大衆から煙たがられたのか

4 無実の罪で死刑になるような屈辱を受けても、清く、正しく生きるべきなのか
プラトンは、「その結果は、必ず来世で受ける」と説く

5 なぜ、カントは、「来世は、なければならない」と主張したのか

第3章
「運命」に関する、驚きの自由討論
古代インド、六人の自由思想家の主張を聞くと未来が見えてきます

1 なぜ今、古代インドに注目すべきなのか
「ゼロ」を発見したインドは、論理学、哲学でも、二千五百年前から世界をリードしていた

2 運命に関する自由討論(1) 宿命論……マッカリ
生まれる前から運命は決まっており、どうあがいても変えられない

3 運命に関する自由討論(2) 道徳否定論……プーラナ
罪を犯しても、その報いはなく、善に励んでも、幸せにはなれない

4 運命に関する自由討論(3) 快楽主義……アジタ
死んだら無になるのだから、善をしようと、悪をしようと、来世の報いはない

5 運命に関する自由討論(4) 極端な唯物論……パクダ
人間といっても、物質の塊にすぎず、実は「私」というものはない

6 運命に関する自由討論(5) 懐疑論……サンジャヤ
真理など最初からない。あったとしても、人間に知ることはできない

7 運命に関する自由討論(6) 相対主義……ニガンタ
見方が変われば、何が善か、悪かも変わる

第4章
ブッダが発見した「因果の法則」
心が善に向いている人は、常に幸せであり、明日はもっと輝く

1 ブッダは、何をさとったのか
万物は因と縁が結びついて生じたものであり、因縁がなくなれば滅する

2 幸せになりたかったら、何をしたらいいのか
ブッダが教えた、運命の因果法則

3 他人の目をごまかしても、どこへ隠れても、悪の行為の報いは、必ずやってくる

4 不幸や災難が来た時、「全て、自分の悪い行為の結果だ」と、なぜ、認められないのか

5 他人を恨むと、憎しみが憎しみを呼び、新たな不幸を生むだけ
「因果の法則を知って、恨みから離れなさい」とブッダは教える

6 誰も見ていなくても、善いタネをまき続ければ、必ず、幸せの花が咲く

7 最大の敵は心であり、最強の味方も心
運命は、心の向き一つで決まる

第5章
「これも運命だ」と、あきらめるのは非科学的
ブッダは、「宿命論」を厳しく排斥する

1 オイディプス王の悲劇に見る古代ギリシャ人の宿命論
「神が与えたものだから、耐えるしかない」

2 過去にやってしまったことは、どうしようもないのか
「宿命論」と「因果の法則」の相違

3 思いがけず女神の入浴シーンを見てしまったアクタイオン、テイレシアスは、不幸にさせられた……。そこには怒りがあるだけで、何の法則もない

第6章
「私に自由を!」と願う人へ
「因果の法則」を知ってこそ、本当の自由になれます

1 なぜ、自由を願いながら、自由に生きられないのか。その原因は、「自由」を誤解しているから

2 なぜ、金や権力で、自由は買えないのか
「選択肢」が増えることと、「自由」が増えることとは、全く違う

3 なぜ、億万長者も不自由なのか
「選択の数」を増やすより、「選択の眼」を養うことが、自由への道

4 「したいことをする」のが自由ではない
その時々の感情で行動したら、「自由」どころか、「自滅」するだけ

5 「自由」と「必然」は矛盾するのか?
「こんな原因には、こんな結果」という、必然的な法則を知ってこそ、自由に生きられる

第7章
正しく生きるべきか、自由気ままに生きるべきか
ソクラテスとカリクレスの激突

1 カリクレスの主張
「欲しいものを、欲しいだけ手に入れるのが最高の人生!」

2 ソクラテスの主張
「現世も来世も幸せになれるよう善に努めるべきだ」

第8章
自分を守るには、どうすればいいのか
現在も、未来も、幸福に生きるために

1 本当の「私」を知らずして、「私の運命」は分からない
「私」の命は、いつ始まったのか

2 私は、ある瞬間に「無」から生まれ、死ぬと「無」に戻ると考えるのは、なぜ、おかしいのか

3 精神と身体は全く別物だから、たとえ身体が死のうと、精神は死なないと、デカルトは論じた

4 「私」が来世も続くとは、何が続くのか
現在の私の「心身」と、来世に私が受ける「心身」は、同一でもなければ、別物でもない

5 死後どうなるかは、第一に明らかにしなければならない大問題だ、とパスカルは訴えた

6 自分の行為が、この世と来世、二つの運命を決める
「因果の法則」に従い、悪を慎み善に向かえば幸せになれる、とブッダは説いている

第9章
六波羅蜜(六度万行)のすすめ
ブッダが教えた本当の幸福への六つの道

1 何が善で、何が悪か
問い詰められると、分からなくなるのは、一貫した判断基準を持たないから

2 善を実行する人には、必ず幸せの花が咲く。どんな行いが善なのか
六つにまとめた教えが「六波羅蜜」

(1)布施(親切) 正しい教えを説く法施、お金や物を施す財施
(2)持戒(言行一致) 一度した約束は、必ず守る
(3)忍辱(忍耐) 怒りの心を堪え忍ぶ
(4)精進(努力) 根気よく続けていく
(5)禅定(反省) 落ち着いて自分の言動を反省する
(6)智慧(修養) 因果の法則を知り、正しく行動する

あとがき

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