話題の本【書評】(2024年9月~) - 2024.10.31
中世東密教学形成論
東台両密の比較から東密教学の形成と展開を改めて論じ、更に新出資料を用いて、東密と禅・南都教学との思想的関係を明らかにする労作
著者 | 田戸 大智 著 |
---|---|
出版社 | 法藏館 |
ジャンル | 日本仏教 > 真言宗系(密教含む) |
出版年月日 | 2018/02/28 |
ISBN | 9784831863720 |
判型・ページ数 | A5・468ページ |
定価 | 本体8,000円+税 |
在庫 | 在庫あり |
日本中世社会に深く浸透し、影響を与えた密教。
本書ではその中でも院政期から鎌倉期にわたる東密教学の形成と展開の過程について、台密教学との比較検討を通じて新たな知見を提示する。
加えて、新出資料である温泉寺蔵『菩提心論開見抄』・身延文庫蔵「大乗義章抄」などから東密と禅の同一化、東密と南都教学(特に三論宗)の兼学化など、未だ研究の行き届いていない領域にも果敢に挑み、最後に「資料編」として、温泉寺蔵『菩提心論開見抄』と智積院蔵『秘宗深密鈔』の翻刻研究も収録した意欲作!
【本書の特色】
・宗学的見地から「東密」「台密」それぞれ別個の枠組みでとらえられてきた問題について、そういった枠組みを超えた「日本密教思想史」という包括的な視点から、東台両密間の思想的連動性に注目して検討。
・これまで研究が十分に進められていなかった東密と禅・南都教学との関係について、新出資料から詳細に言及。
・貴重資料の翻刻2本を収録。
本書ではその中でも院政期から鎌倉期にわたる東密教学の形成と展開の過程について、台密教学との比較検討を通じて新たな知見を提示する。
加えて、新出資料である温泉寺蔵『菩提心論開見抄』・身延文庫蔵「大乗義章抄」などから東密と禅の同一化、東密と南都教学(特に三論宗)の兼学化など、未だ研究の行き届いていない領域にも果敢に挑み、最後に「資料編」として、温泉寺蔵『菩提心論開見抄』と智積院蔵『秘宗深密鈔』の翻刻研究も収録した意欲作!
【本書の特色】
・宗学的見地から「東密」「台密」それぞれ別個の枠組みでとらえられてきた問題について、そういった枠組みを超えた「日本密教思想史」という包括的な視点から、東台両密間の思想的連動性に注目して検討。
・これまで研究が十分に進められていなかった東密と禅・南都教学との関係について、新出資料から詳細に言及。
・貴重資料の翻刻2本を収録。
序 章
一 課題と目的
二 先行研究の概要
三 本書の構成
第一部 教主論をめぐる問題
第一章 済暹の教主義―安然説の受容―
一 はじめに
二 諸説発生の因由
三 安然の教主義
四 済暹の教主義
五 おわりに
第二章 五種法身説の検討
一 はじめに
二 覚苑説の受容と批判
三 澄観所引の五種法身説
四 吉蔵と安然
五 おわりに
第二部五相成身観の考察
第三章 五相成身観の日本的展開―安然と済暹を中心に―
一 はじめに
二 五相成身観と五智
三 安然の解釈
四 済暹の解釈
五 済暹以降の展開
六 おわりに
第四章 般若訳経典における五相成身観―安然説を中心に―
一 はじめに
二 般若訳経典をめぐる諸問題
三 安然と覚超の見解
四 成仏論との関係
五 おわりに
第五章 『五部心観』の五相成身観
一 はじめに
二 五相成身観と五仏
三 『五部心観』成立期試論
四 おわりに
第三部 成仏論の形成
第六章 済暹の密教行位説
一 はじめに
二 済暹の基本的見解
三 五相成身観と行位をめぐる問題
四 行位の経歴について
五 おわりに
第七章 重誉における機根の問題
一 はじめに
二 成仏と機根の問題
三 三劫と十地の解釈
四 漸入者について
五 超昇者・頓入者について
六 行位と仏果をめぐる問題
七 おわりに
第四部 東密と禅
第八章 『菩提心論開見抄』の検討
一 はじめに
二 実範撰への疑義
三 済暹撰『金剛頂発菩提心論私抄』との関連性
四 禅典籍の活用について
五 おわりに
第九章 東密における禅―『菩提心論開見抄』を中心に―
一 はじめに
二 高野山と禅
三 伝栄西撰『真禅融心義』について
四 『真禅融心義』と『菩提心論開見抄』の対比
五 おわりに
第五部 東密と南都教学
第十章 『大乗義章』の修学について―論義関連資料を中心に―
一 はじめに
二 『大乗義章』関連資料の伝存状況
三 身延文庫蔵「大乗義章抄」について
四 頼超記『義章問答』について
五 増玄記『義章要』について
六 おわりに
第十一章 日本における『大乗義章』の受容と展開
一 はじめに
二 願暁と聖宝
三 覚樹とその門下
四 法会における『大乗義章』
五 おわりに
第十二章 中世における密教と諸思想の交流―珍海を中心に―
一 はじめに
二 空海と珍海の関係
三 珍海の速疾成仏について
四 おわりに
付論 重誉撰『秘宗深密鈔』について
一 はじめに
二 内容構成について
三 金亀をめぐる問題
四 おわりに
終 章
資料編
温泉寺蔵『菩提心論開見抄』二巻・翻刻
智積院蔵『秘宗深密鈔』三巻・翻刻
あとがき
索引
一 課題と目的
二 先行研究の概要
三 本書の構成
第一部 教主論をめぐる問題
第一章 済暹の教主義―安然説の受容―
一 はじめに
二 諸説発生の因由
三 安然の教主義
四 済暹の教主義
五 おわりに
第二章 五種法身説の検討
一 はじめに
二 覚苑説の受容と批判
三 澄観所引の五種法身説
四 吉蔵と安然
五 おわりに
第二部五相成身観の考察
第三章 五相成身観の日本的展開―安然と済暹を中心に―
一 はじめに
二 五相成身観と五智
三 安然の解釈
四 済暹の解釈
五 済暹以降の展開
六 おわりに
第四章 般若訳経典における五相成身観―安然説を中心に―
一 はじめに
二 般若訳経典をめぐる諸問題
三 安然と覚超の見解
四 成仏論との関係
五 おわりに
第五章 『五部心観』の五相成身観
一 はじめに
二 五相成身観と五仏
三 『五部心観』成立期試論
四 おわりに
第三部 成仏論の形成
第六章 済暹の密教行位説
一 はじめに
二 済暹の基本的見解
三 五相成身観と行位をめぐる問題
四 行位の経歴について
五 おわりに
第七章 重誉における機根の問題
一 はじめに
二 成仏と機根の問題
三 三劫と十地の解釈
四 漸入者について
五 超昇者・頓入者について
六 行位と仏果をめぐる問題
七 おわりに
第四部 東密と禅
第八章 『菩提心論開見抄』の検討
一 はじめに
二 実範撰への疑義
三 済暹撰『金剛頂発菩提心論私抄』との関連性
四 禅典籍の活用について
五 おわりに
第九章 東密における禅―『菩提心論開見抄』を中心に―
一 はじめに
二 高野山と禅
三 伝栄西撰『真禅融心義』について
四 『真禅融心義』と『菩提心論開見抄』の対比
五 おわりに
第五部 東密と南都教学
第十章 『大乗義章』の修学について―論義関連資料を中心に―
一 はじめに
二 『大乗義章』関連資料の伝存状況
三 身延文庫蔵「大乗義章抄」について
四 頼超記『義章問答』について
五 増玄記『義章要』について
六 おわりに
第十一章 日本における『大乗義章』の受容と展開
一 はじめに
二 願暁と聖宝
三 覚樹とその門下
四 法会における『大乗義章』
五 おわりに
第十二章 中世における密教と諸思想の交流―珍海を中心に―
一 はじめに
二 空海と珍海の関係
三 珍海の速疾成仏について
四 おわりに
付論 重誉撰『秘宗深密鈔』について
一 はじめに
二 内容構成について
三 金亀をめぐる問題
四 おわりに
終 章
資料編
温泉寺蔵『菩提心論開見抄』二巻・翻刻
智積院蔵『秘宗深密鈔』三巻・翻刻
あとがき
索引