本願寺教団展開の基礎的研究

戦国期から近世へ

戦国期に成立した在地道場が、近世的真宗寺院へと成長し、教団内身分を獲得する過程を、装束・法宝物・由緒・伝承などから読み解く。

著者 青木 馨
出版社 法藏館
ジャンル 日本仏教 > 真宗系
出版年月日 2018/03/25
ISBN 9784831877147
判型・ページ数 A5・458ページ
定価 本体9,800円+税
在庫 在庫あり
由緒・伝承・旧跡はどのように創られたのか?

「史実から伝承」という観点をキーワードとして、多くの事例を三河地域から抽出しつつ、親鸞伝承・蓮如伝承あるいは教如伝承などを生み出す素地を探る。道場の形成から近世寺院の成立における身分の獲得という様相を、絵画史料の分析を含めて考察する。

【本書の構成】
●第Ⅰ編 三河における地域道場から教団への展開
三河地域において本願寺傘下に入った地域「本願寺教団」の様相を考察する。特に上宮寺門徒団の形成、本宗寺の創立、そして上宮寺も含めた地域大坊主の門末形成のあり方に注目する。
●第Ⅱ編 本願寺門主制と近世の末寺身分
道場の寺院化にともなう身分昇進の動向について考察する。本願寺自身も含め、身分を象徴すると考えられる装束衣体や、それを着用する真影・似影に焦点を当て、考察の対象とする。
●第Ⅲ編 本願寺下付物と墨書名号
墨書名号のみならず、蓮如以降一般化する道場や寺院礼拝物全般の本願寺下付物について考察する。たとえば蓮如下付の親鸞像の礼盤の狭間にすでに身分差の萌芽が見られる。また墨書名号の筆者を、主に蓮如・実如のものを中心に検討する。
●総論
道場の形成から近世寺院の成立過程における身分の獲得という様相を、絵画史料の分析も含めて考察する。その要件の一つが由緒書であり、それに付随する名号などの伝承に色づけられた宝物の存在である。それは、寺や住職の格付・身分と不可分の関係にある。歴史的事実ではない由緒・伝承が醸成していくあり方を、歴史的事実のなかで捉え直し、由緒に仮託された宝物や旧跡がどのように成立してきたかを論ずる。
序論 研究史と課題

第Ⅰ編 三河における地域道場から教団への展開

 第一章 三河の初期真宗概観

 第二章 文明十六年『如光弟子帳』
  第一節 如光門徒道場の形成
  第二節 『如光弟子帳』の性格
  第三節 「天正十九年末寺帳」

 第三章 本宗寺の成立と展開
  第一節 本宗寺の創建
  第二節 吉野門徒の動向
  第三節 本宗寺実円
  第四節 別坊鷲塚坊
  第五節 補結

 第四章 本願寺教団の形成
  第一節 三河の大坊主の動向
  第二節 裏書史料に見る末寺道場の成立と分布
  第三節 両本宗寺寺内と三河門末の与力化

 補 論 「御文」本流布の実態

第Ⅱ編 本願寺門主制と近世の末寺身分

 第一章 本願寺門主制の性格
  第一節 門主の権能
  第二節 門主制と近世家元制

 第二章 戦国期門主とその一族――装束に見る――
  第一節 教行寺実誓影像と装束
  第二節 門主と一族の社会的身分

 第三章 近世「似影」に見る住職家の成立と格付
  第一節 真影と似影
  第二節 法衣と身分
  第三節 近世的身分と家元制
  第四節 地方家元化への動向

 補 論 願力寺所蔵史料『余間昇進記録』

第Ⅲ編 本願寺下付物と墨書名号

 第一章 戦国期本尊・影像論
  第一節 蓮如・実如期下付と「裏書」
  第二節 名号本尊と絵像本尊
  第三節 開山親鸞像と蓮如寿像

 第二章 墨書名号の考察
  第一節 草書体六字名号
  第二節 蓮如筆墨書名号の意義
  第三節 蓮如・実如期下付本尊と墨書名号

 補 論 墨書幼児名号について

総論 由緒・伝承の成立

結語

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