浄土教における死の受容と超越を釈尊から親鸞に至る思想史の上で解明し、ビハーラ運動の理論の確立と実践に広く影響を与えた名著に、大幅な書き下ろしを加えて面目を一新した決定版。
「死そして生を考える研究会」(ビハーラ研究会)を創設し、「死生学」を提唱したビハーラ研究の第一人者が、浄土教における死の受容と超越を釈尊から親鸞に至る思想史の上で検証、解明する。
序章 生命のモノ化と死のタブー視
第一章 仏教の興起と死苦の認識
第一節 四諦と三法印
第二節 分段生死と不思議変易生死
第二章 無生無滅の浄土教的展開
第一節 曇鸞における無生の生
第二節 善導における凡夫得忍
第三章 臨終来迎思想と死の受容
第一節 臨終来迎
第二節 『往生要集』と臨終行儀
第三節 無常院と糸引き往生
第四章 死苦の普遍的解決の萌芽
第一節 臨終来迎の課題と法然の立場
第二節 来迎から摂取へ
第五章 生死出離の浄土教的展開―「選択」と「唯信」
第一節 法然における「選択」の課題
第二節 聖覚の念仏理解と『唯信鈔』
第三節 親鸞における「諸仏」と「大行」
第六章 如来と念仏
第一節 如来と念仏
一 如来
二 真如一実功徳宝海
三 方便法身
四 如来とひとし
第二節 「真実」の所在
一 至誠真実
二 真実心
三 法然の「真実」
四 利他真実
五 如来回向の真実心
第七章 現生における死の超越
第一節 現生正定聚
第二節 摂取不捨
第三節 親鸞における「来迎」の理解
第八章 生死出離の実存的展開
第一節 主体的世界への転入 他力の念仏
第二節 信心の純化による生死の超断 「横超断四流」
第三節 真門の意義 「果遂の誓」
第四節 浄土の内景 「心は浄土に遊ぶ」
第五節 慈悲と満足 「生死即涅槃」の救済
第九章 生死の迷いと方便
第一節 外道への迷いと方便 親鸞の神祗観
一 神祗の「不拝」と「不捨」
二 神祗「不捨」と方便
三 偽の仏弟子
第二節 否定と方便 『歎異抄』を発端として
第三節 否定と乗願 社会的立場における二種深信
一 親鸞の〈善導三心釈〉理解
二 二種深信
三 社会的立場における二種深信
第十章 現生における死の受容と超越の種々相
第一節 蓮如
一 無常の自覚と死別体験
二 無常と常住
三 六字の理解
第二節 清沢満之
一 死生均しくす
二 如意と不如意
三 生死巌頭に立つ
付節 蓮如の願成就文領解 『御文』の鋼格
一 『御文』の鋼格
二 聞其名号
三 至心回向
四 即得往生
五 唯除五逆
結章 真宗とデス・エデュケーション(”いのち”の教育)
付章 事例で見る「真宗」デス・エデュケーション
資料