九鬼周造 【講談社選書メチエ627】

理知と情熱のはざまに立つ〈ことば〉の哲学

著者 藤田 正勝
出版社 講談社
ジャンル 哲学・思想 > 仏教哲学・思想
出版年月日 2016/07/10
ISBN 9784062586306
判型・ページ数 4-6・238ページ
定価 本体1,600円+税
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希代の哲学者・九鬼周造(1888-1941)による、東洋と西洋の邂逅を体現した思索は、代表作『「いき」の構造』(1930年)に結実する。続いて発表された『偶然性の問題』(1935年)、『人間と実存』(1939年)、『文芸論』(1941年)といった著作を手に取ればすぐ分かるように、九鬼が関心をもった対象は、「偶然性」、「時間」、「美」、「押韻」など、きわめて多岐に及んでいる。  多様な姿を見せる九鬼の哲学にある、一貫した問題意識とはなにか。九鬼周造という神秘と魅力に満ちた人の生涯をたどり、すべての主要著作をていねいに読み解き、近代日本哲学研究の第一人者である著者がその本質に迫る。  「〈ことば〉の哲学」というキーワードを手がかりにして、九鬼の生涯と全思索を魅力ある筆致で描ききった本書は、最良の入門書であるだけでなく、他では体験できない知的冒険をもたらしてくれるだろう。
序 章 九鬼周造――「ことば」の哲学者
第一章 九鬼周造の生涯と思想
 1 生い立ち・家庭
 2 高校・大学時代
 3 ヨーロッパ留学
 4 京都大学時代
 5 人となり
 6 思想の源泉
 7 九鬼周造の哲学
第二章 「いき」の構造
 1 問題としての「いき」
 2 分析の方法
 3 「いき」とは何か
 4 方法論の揺れ
 5 開放性と閉鎖性のはざま
 6 概念的分析の限界と哲学の意義
第三章 偶然性の哲学
 1 なぜ九鬼は『偶然性の問題』を執筆したのか
 2 「偶然性」とは何か
 3 原始偶然
 4 九鬼の偶然論の射程──「生の論理学」をめざして
第四章 時間について
 1 東洋的時間
 2 円環としての時間――魂の輪廻と宇宙の輪廻
 3 同一性と多様性という逆説
 4 時間論に込められた意図
第五章 芸術・文化・自然
 1 無限の表現としての芸術
 2 日本文化と世界文化
 3 自 然
第六章 文学・詩・押韻
 1 文学と時間
 2 音 韻
 3 日本詩の押韻

参考文献
あとがき
九鬼周造・著作一覧

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