受賞のお知らせ(2024年度) - 2024.12.02
近世の王権と仏教
通説的には、近世という時代は、国家も社会も思想も、宗教世界中世を克服した世俗世界であるとされる。本書は、そのような認識は近代の眼から見たものであるとして、真っ向から異を唱え、幕藩体制そのものが神聖性を帯びていたことを明らかにする。とくに、救済信仰という様相をもつ真宗という存在に着目し、徳川家康による将軍権力の成り立ちから綱吉期までを中心に、近世国家の宗教性を論証し、さらには仏教的世界としての近世を論じた論考を収めた一冊。
序 言 ―なぜ、近世、王権、仏教、なのか
第一部 将軍権力と仏教
第一章 近世国家の宗教性
一 王権論の理論と近世王権論
二 近世国家形成の諸契機と宗教性
三 〈民衆的契機〉=神格化と〈領主的契機〉=神体化
信長自己「神格化」と現当二世救済/刀狩令の現当二世救済と豊国大明神/家康の現当二世救済と東照大権現の「利民」
四 神体化と諸契機
信長神体化と人神/「日輪の子」から豊国大明神へ―超越王権の形成と挫折/東照大権現―超越王権始祖の創始
五 神国思想―〈対外的契機〉と〈コスモロジー的契機〉―
六 〈コスモロジー的契機〉―異界・死者―
七 真宗と東照大権現
第二章 徳川将軍権力と宗教―王権神話の創出―
一 徳川将軍権力の成り立ちの認識
二 家康段階―仏教の囲い込みと総覧
三 家光期権力中枢での神話形成
四 家光期権力周辺での神話形成
五 綱吉期における神話の成立
第三章 綱吉政権における王権と仏教
―増上寺法問をめぐってー
一 研究史から
二 綱吉政権における正統性の問題
三 桂昌院と顕譽祐天
四 増上寺御成法聞
五 営中法問
補説 野村玄『天下人の神格化と天皇』について
第四章 『松平崇宗開運録』の諸問題
一 『松平崇宗開運録』の成立と諸本の系譜
写本の伝存状況と『浄宗護国篇』/祐天御前物語家康一代記/祐天物語松平一流記/歴誉書写本系統/増上寺方丈本とは何か/『伝法要偈口訣』との関係
二 『松平開運録』の構成
三 思想的特質
職分仏行説/弥陀天下授与説/仏教治国論
補説一 天下弥陀授与説の展開
二 若干の教学史的考察
写本所在一覧表
関連史料
第五章 幕藩権力と真宗―近世真宗の研究状況と視点―
一 幕藩権力の真宗観
二 真宗の対応
三 権力の対応―城下町神聖都市論
四 大名の神格化
第二部 仏教土着論
第一章 戦国思想史論
一 仏教土着論
二 神仏関係論
三 救済論
四 国家論
五 思想の共通基盤
第二章 仏教的世界としての近世
一 研究史から
二 〈心の思想〉としての〈住み着〉き
三 天道思想と儒教に〈住み着〉いた仏教
四 仮名草子の仏教
五 近世仏教の思想的生産力―むすびにかえて
第三章 近世国家の宗教編成とキリシタン排撃
一 排耶論の展開
ハビアン/雪窓
二 宗教編成論
神格化/王権神話と体制神聖化/社会的合意調達と仏教治国論/東アジア心学世界の形成/編成と排除
第四章 東アジア近世世界の思想史的成立
一 東アジア近世国家群の性格
神聖国家としての明・朝鮮/日本の後進性/徳川神聖国家の形成
二 〈心学〉世界としての東アジア世界の形成
〈心学〉としての儒教の展開/日本の仏教復興運動と〈心学〉/日本近世民衆思想と〈心学〉
三 東アジア世界の変動と解体の始まり
南蛮と神国・仏国/明清交替とエスノセントリズム
あとがき/索引
第一部 将軍権力と仏教
第一章 近世国家の宗教性
一 王権論の理論と近世王権論
二 近世国家形成の諸契機と宗教性
三 〈民衆的契機〉=神格化と〈領主的契機〉=神体化
信長自己「神格化」と現当二世救済/刀狩令の現当二世救済と豊国大明神/家康の現当二世救済と東照大権現の「利民」
四 神体化と諸契機
信長神体化と人神/「日輪の子」から豊国大明神へ―超越王権の形成と挫折/東照大権現―超越王権始祖の創始
五 神国思想―〈対外的契機〉と〈コスモロジー的契機〉―
六 〈コスモロジー的契機〉―異界・死者―
七 真宗と東照大権現
第二章 徳川将軍権力と宗教―王権神話の創出―
一 徳川将軍権力の成り立ちの認識
二 家康段階―仏教の囲い込みと総覧
三 家光期権力中枢での神話形成
四 家光期権力周辺での神話形成
五 綱吉期における神話の成立
第三章 綱吉政権における王権と仏教
―増上寺法問をめぐってー
一 研究史から
二 綱吉政権における正統性の問題
三 桂昌院と顕譽祐天
四 増上寺御成法聞
五 営中法問
補説 野村玄『天下人の神格化と天皇』について
第四章 『松平崇宗開運録』の諸問題
一 『松平崇宗開運録』の成立と諸本の系譜
写本の伝存状況と『浄宗護国篇』/祐天御前物語家康一代記/祐天物語松平一流記/歴誉書写本系統/増上寺方丈本とは何か/『伝法要偈口訣』との関係
二 『松平開運録』の構成
三 思想的特質
職分仏行説/弥陀天下授与説/仏教治国論
補説一 天下弥陀授与説の展開
二 若干の教学史的考察
写本所在一覧表
関連史料
第五章 幕藩権力と真宗―近世真宗の研究状況と視点―
一 幕藩権力の真宗観
二 真宗の対応
三 権力の対応―城下町神聖都市論
四 大名の神格化
第二部 仏教土着論
第一章 戦国思想史論
一 仏教土着論
二 神仏関係論
三 救済論
四 国家論
五 思想の共通基盤
第二章 仏教的世界としての近世
一 研究史から
二 〈心の思想〉としての〈住み着〉き
三 天道思想と儒教に〈住み着〉いた仏教
四 仮名草子の仏教
五 近世仏教の思想的生産力―むすびにかえて
第三章 近世国家の宗教編成とキリシタン排撃
一 排耶論の展開
ハビアン/雪窓
二 宗教編成論
神格化/王権神話と体制神聖化/社会的合意調達と仏教治国論/東アジア心学世界の形成/編成と排除
第四章 東アジア近世世界の思想史的成立
一 東アジア近世国家群の性格
神聖国家としての明・朝鮮/日本の後進性/徳川神聖国家の形成
二 〈心学〉世界としての東アジア世界の形成
〈心学〉としての儒教の展開/日本の仏教復興運動と〈心学〉/日本近世民衆思想と〈心学〉
三 東アジア世界の変動と解体の始まり
南蛮と神国・仏国/明清交替とエスノセントリズム
あとがき/索引