祇園祭や五山の送り火などとともに、京都の“夏の風物詩”と称される年中行事・地蔵盆。子どもたちの流行現象にはじまり、時代の影響を受けながら現在にいたったその歴史は、一体どのようなものだったのか。またその歴史のなかでどういった意義が付されてきたのか……。
文献調査とフィールドワークの成果から、京都人も意外と知らない「地蔵盆」の歴史を紹介し、そこから新たに見えてくる都市京都の姿を描くディープな京都本!
【地蔵盆とは?】
毎年地蔵菩薩の縁日である8月24日頃に京都の各地で実施される年中行事。「お地蔵さんが子どもを守る」という理解から、子どもたちの祭りと一般的には認識されている。京都のみならず、近郊の大阪・滋賀などでも実施されているが、京都で特に盛んに行われていることから、京都の盆行事の特色とされ、京都の都市文化を知るうえで欠かせないものと言えるが、これまでその歴史研究は皆無であり、本書は地蔵盆の歴史研究に初めて本格的に取り組んだ1冊といえる。
2018年8月15日にゼスト御池地下街(ZEST)にて~京都 地蔵盆の歴史~ 村上紀夫先生のお話しがありました。その模様をYoutube法藏館チャンネルにてダイジェストが視聴できます。
序 章 地蔵盆の風景
第一章 京都のお地蔵さま
一 地蔵菩薩の伝来と広がり
二 中世の地蔵信仰
三 泰平の時代と地蔵菩薩
四 六地蔵めぐり
第二章 地蔵会のはじまりと京都
一 中世の墓と石仏
二 「地蔵会」のはじまり
三 発見される石仏
四 17世紀の京都
第三章 近世都市京都と地蔵会
一 京の町と地蔵会
二 宗教者と地蔵信仰
三 木戸と町
四 運営と行事
五 もうひとつの“地蔵盆”―大日会
六 停止・中断させられる地蔵会
第四章 近代の地蔵会
一 「お地蔵さま」が消えた日―明治4~5年の廃止
二 お地蔵さまの撤去と地蔵会の中断
三 明治16年のできごと
四 明治16年の布達
五 メディアと地蔵盆
第五章 地蔵盆の近現代史
一 明治期の歩み
二 大正期の地蔵盆
三 戦時体制下~戦後社会と地蔵盆
四 現在の地蔵盆
終 章 地蔵会から地蔵盆へ
一 地蔵会・地蔵盆の400年
二 近世と近代の間
三 地蔵会・地蔵盆の祭祀
四 かつての町居住者への供養
五 地蔵盆がつなぐもの
地蔵盆関係略年表
【参考文献】・【引用史料】・【各章扉使用写真】
あとがき