〈大逆事件〉と禅僧内山愚童の抵抗

著者 眞田 芳憲
出版社 佼成出版社
ジャンル 哲学・思想 > 宗教総論
出版年月日 2018/03/15
ISBN 9784333027767
判型・ページ数 4-6・237ページ
定価 本体2,000円+税
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「大逆事件」(1910年/明治43年)に連座し、37歳で刑死した禅僧内山愚童(1874-1911年)の評伝。従来、社会主義者・無政府主義者の側面が強調されてきた愚童について、彼が書き遺した著作や書簡などから、その仏教者としての実像に光をあてる。愚童は仏教思想に基づいて、明治期の国家・戦争・身分制・貧富・性差などをどのように捉え、何を訴えたのか――。明治維新から150年目を期して、時代の先を歩んだ一禅者の思想と行動がいま明かされる。巻末に註と内山愚童年譜を付す。
はしがき――内山愚童が、いま問うているもの

第Ⅰ章 禅僧内山愚童の不服従の抵抗と殉教
 1 「大逆事件」の禅僧内山愚童とは
 2 内山愚童とディートリッヒ・ボンヘッファーとの「対話」があったとしたら
 3 内山愚童と「信教の自由」
 4 愚童の抵抗の宗教的倫理と責任

第Ⅱ章 「大逆事件」と三人の僧侶
 1 いわゆる「大逆事件」とは
 2 大逆事件と内山愚童の弁護人花井卓藏
 3 大逆事件と天皇制国家
 4 「大逆事件」に連座した三人の僧侶に対する社会の好奇心

第Ⅲ章 大逆事件をめぐる関係宗門の対応と宗門内僧侶の批判的対応
 1 徳冨蘆花の仏教者批判
 2 愚童と佐藤実英老師
 3 昭和五四年の「内山愚童を偲ぶ会」の結成と「町田差別発言事件」
 4 新村善兵衛・忠雄兄弟と西沢学雄上人
 5 丸茂天霊と長野善光寺僧侶

第Ⅳ章 内山愚童の思想と行動の遍歴
 1 愚童の「人生の幸福」とは
 2 愚童と社会主義思想との出会い
 3 愚童の生い立ちと社会主義思想の萌芽
 4 愚童の仏道修行への道
 5 愚童の林泉寺晋山と布教活動

第Ⅴ章 内山愚童と『平凡の自覚』
 1 『平凡の自覚』の草稿
 2 「一平民になるの自覚」と『平凡の自覚』
 3 『平凡の自覚』と愚童の宗教間対話の実践
 4 『平凡の自覚』という論稿の名称
 5 『平凡の自覚』における自由・平等・博愛の主張
 6 愚童のユートピア社会と現実的予見

第Ⅵ章 「伊藤中将姦通事件」と愚童の「平凡の自覚」
 1 愚童は「経巻を棄てゝ何を採らん」としたか
 2 愚童の「伊藤中将姦通観」
 3 愚童の「私有制度」論

第Ⅶ章 『入獄紀念・無政府共産・革命』の秘密出版
 1 出版法と秘密出版
 2 愚童の秘密出版の第一作としての『入獄紀念・無政府共産・革命』
 3 愚童の『入獄紀念・無政府共産・革命』
 4 三つの迷信からの解放

第Ⅷ章 『道徳非認論』と『帝国軍人座右之銘』(新兵諸君に与ふ)
 1 「迷信ヲステヨ」と『道徳非認論』
 2 愚童の非戦論と『帝国軍人座右之銘』(新兵諸君に与ふ

第Ⅸ章 愚童の非暴力による不服従の抵抗運動
 1 日本の歴史上最大の悪書か、『無政府共産・革命』
 2 「平凡の自覚」から「迷信からの覚醒と被搾取者の自覚」へ
 3 愚童の非暴力による市民的抵抗運動の提唱
 4 「社会参加仏教」の近代的先覚者としての内山愚童

第Ⅹ章 内山愚童の処刑と宗内復権・名誉回復
 1 処刑台に立つ愚童
 2 愚童の宗内復権と名誉回復
 3 髙木顕明の宗内復権と名誉回復および峰尾節堂の宗内復権
 4 大逆事件の犠牲者を顕彰する市民運動



附録 内山愚童年譜

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