「ぞめき」の時空間と如来教

近世後期の救済論的転回

「身体」から「心」へ。19世紀初頭の名古屋を舞台に、如来教、民間信仰、真宗教学を巻き込んだ救済論のパラダイム転換を解明する。

著者 石原 和
出版社 法藏館
ジャンル 歴史・資料 > 歴史
出版年月日 2020/07/30
ISBN 9784831862648
判型・ページ数 A5・370ページ
定価 本体4,500円+税
在庫 在庫あり
「身体」から「心」へ。19世紀初頭の名古屋を舞台に、如来教、民間信仰、真宗教学を巻き込んだ救済論のパラダイム転換を解明する。
序章
 はじめに――「ぞめき」の時空間と如来教――
 一 民衆宗教研究・如来教研究とその課題
 二 近世民衆宗教としての如来教
 三 本書の立場と分析視点・方法
 四 本書の構成

第一部 一八〇〇年前後の救済課題と如来教

第一章 一八〇〇年前後における救済の動揺――三業惑乱と如来教――
 はじめに――異安心の時代と如来教――
 一 近世真宗教学論争年表からみる如来教の時代
 二 三業惑乱――近世真宗最大の異安心事件――
 三 つとめの方法への問いと如来教
 おわりに――三業惑乱にみる時代的課題と共振する如来教――

第二章 名古屋城下の真宗異安心と如来教――尾州五人男をめぐって――
 はじめに――名古屋城下の真宗から如来教説教を読む――
 一 名古屋城下の真宗
 二 名古屋城下における真宗信仰の揺れ――「新敷宗意」事件と尾州五人男事件――
 三 如来教説教と真宗の動向
 おわりに――一八〇〇年前後の救済課題に対する心の定置という応答と如来教――

第三章 「渇仰の貴賤」と如来教――作善実践に向き合う――
 はじめに――「渇仰の貴賤」の群像から如来教説教を読む――
 一 『金明録』にみる「渇仰の貴賤」
 二 作善問題と善の実践根拠
 三 作善問題と如来教――善/悪と救済――
 おわりに――一八〇〇年前後の人々の救済への希求と宗教の応答――

第二部 一八〇〇年前後名古屋の宗教環境と如来教世界の形成

第一章 如来教世界の形成過程と秋葉信仰
 はじめに――名古屋城下の宗教環境と如来教における存在意義の発見――
 一 名古屋城下の秋葉信仰――その登場と展開――
 二 鳴海宿下郷家と秋葉講――その組織と信仰活動――
 三 秋葉信仰に対峙した如来教説教の展開
 おわりに――他信仰との柔軟な対峙のあり方と民衆宗教・如来教の展開――

第二章 如来教説教の想像力としての近世親鸞伝
 はじめに――一八〇〇年前後の宗教知と如来教説教――
 一 枕石寺の宝物弘通と「高祖親鸞聖人御枕石」
 二 如来教の中の「高祖親鸞聖人御枕石」縁起
 三 如来教の「高祖親鸞聖人御枕石」縁起の想像力
 おわりに

第三章 文政地震と如来教
 はじめに――非日常に表出する民衆宗教の特徴――
 一 名古屋城下における文政地震
 二 地震の恐怖と宗教
 三 如来教の地震説教とその展開
 おわりに――即時性・即興力・変容――

結章 本稿の成果と課題・展望
 一 一八〇〇年前後の都市名古屋
 二 「ぞめき」の時空間とつとめの方法の模索――社会変化へのふたつの対応――
 三 一八〇〇年前後の救済パラダイムという視線を広げる
 四 救済論の構成にみる如来教の特色

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あとがき

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