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寺院内外伝承差の原理

縁起通史の試みから

西国三十三所札所諸寺の開創期より近現代に至る各種の縁起を分析して史的展開を跡づけ、寺院発の伝承の変遷に法則性を読み取る。

著者 中前 正志
出版社 法藏館
ジャンル 歴史・資料 > 歴史
出版年月日 2021/06/10
ISBN 9784831877222
判型・ページ数 A5・557ページ
定価 本体4,000円+税
在庫 在庫あり
寺院草創沿革の記録、すなわち寺院縁起は一つの寺院においても多様な内容を持つことが多い。西国三十三所札所諸寺の開創期より近現代に至る各種の縁起を分析して史的展開を跡づけ、寺院発の伝承の変遷に法則性を読み取る。
まえがき

第Ⅰ部 縁起通史の試み――古代から近現代まで――

序――縁起通史という俯瞰

〔試論A〕揺らぐ檀那――丹波国穴太寺縁起通史――
一 「命に替る」穴太寺観音
二 猛悪の檀那――『扶桑略記』所載「穴穂寺縁起」と『法華験記』
三 悪人離れする檀那――『今昔物語集』以降宝徳二年重修『丹波国穴太寺観音縁起事』以前
四 善女人の檀那――宝徳二年重修『丹波国穴太寺観音縁起事』
五 襲わない檀那――宝徳二年重修縁起と延宝四年縁起絵巻の間
六 重層する檀那――近世穴太寺縁起の二重構造
七 長者化する檀那――近世穴太寺縁起と長者伝説・試観音縁起
八 回帰する檀那――『霊場記図会』系統から縁起絵巻系統へ
九 揺らがない檀那、揺らぐ造立年
編末資料イ~ホ

付論a 丹波国穴太寺縁起と薬師――『一遍聖絵』巻八第一段が暗示するもの――

〔試論B〕分岐する開山――丹後国成相寺縁起通史――
一 意地の悪い観音・意志の弱い僧
二 親切な観音・正直な僧
三 流血する観音・懊悩慙愧する僧
四 二井寺観音霊験譚との関係
五 二井寺・斉遠の混入
六 成相寺・斉遠の定着
七 開基・真応の台頭
八 開基・真応の浸透
九 斉遠の消滅と無名僧への回帰
十 観音と僧のその後

付論b 周防国二井寺観音霊験譚のその後

〔試論C〕移りゆく願主――美濃国華厳寺縁起通史――
一 影薄き願主「美濃大領国造」「大口」
二 願主「大口大領」の台頭
三 会津人「大口大領」
四 定着する会津人
五 金商人の奥州人「大倉信満」
六 生人形と歌舞伎の「大倉信満」
七 「大倉信満」の終焉

付論c 美濃国谷汲念仏池念仏橋関係資料逍遥
一 道中図の中の念仏池
二 現代の念仏池・念仏橋
三 『念仏橋之縁起』
四 『谷汲山辺リ 念仏橋有志竒(ママ)附簿』
五 地誌類の中の念仏池・念仏橋
六 道中案内記・道中日記の中の念仏池・念仏橋

第Ⅱ部 寺院内外伝承差の原理――仮説の提示

序―寺院内外伝承差の面影

〈補論A〉観音発見者の収束――宇治三室戸寺縁起断章――
一 近世勧進帳・略縁起五点
二 継承される縁起
三 二臂千手
四 観音発見者いろいろ
五 寺内の犬養説と寺外の諸説
六 新展開宗休説への収束
七 犬養説の浸透
八 犬養説への収束

〔補論B〕楊柳観音の波紋――洛東清水寺縁起断章――
一 楊柳観音以前
二 楊柳観音の出現
三 基盤としての行叡観音化身説
四 楊柳観音および柳
五 朽ち木
六 楊柳観音本尊説
七 楊柳料木観音本尊説とその改良型
八 改良型および簡略型楊柳料木観音本尊説の普及
九 消える楊柳


〈補論C〉草創の遡及――洛北鞍馬寺縁起断章――
一 道祐の戸惑い
二 伊勢人創建・峯延開基説の源流
三 伊勢人創建・峯延開基縁起の変奏
四 鑑禎開基・伊勢人創建説の誕生
五 旧縁起から新縁起へ
六 新旧両縁起の棲み分け ⑴
七 新旧両縁起の棲み分け ⑵
八 道祐の信念
九 新縁起の進出
十 新縁起の浸透

【仮説提示】寺院内外伝承差――原理への模索――
一 寺院内外伝承差の実在性
二 開創縁起以外の寺院内外伝承差
三 寺院内外伝承差の推移と法則性
四 寺院内外伝承差の原理
五 原理の応用――再び丹後成相寺縁起
六 原理の意義と課題

付録 明治二十九年刊『西国三十三所霊験画伝』――仏具としての縁起譚――

あとがき

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