西本願寺史上最大の異安心論争「三業惑乱」は、一宗派での一時の教義論争ではなく、蓮如が明かした信心「たすけたまへとたのむ」を起源とする、蓮如から近代までの浄土真宗の思想の根幹にかかわる大問題であった!
はじめに
第一章 「たすけたまへ」の浄土教
第一節 問題の所在
第二節 「たすけたまへ」前史
第三節 浄土教における「たすけたまへ」の起源について
小 結
第二章 「たすけたまへと申す」考
第一節 問題の所在
第二節 蓮如における「たすけたまへ」の用例
第三節 発語すべき言葉としての「たすけたまへ」の論理
小 結
第三章 三業(欲生)帰命説の伝統に関する考察──「たすけたまへ」の発語と「改悔」
第一節 問題の所在
第二節 「改悔」という儀礼の歴史──創始者蓮如の理念
第三節 蓮如以降の「改悔」──山科本願寺から大坂本願寺へ
小 結
第四章 「領解文」広布の経緯に関する研究──能化・功存と堂達・玄智
第一節 問題の所在
第二節 天明期の「領解文」開版の経緯
第三節 玄智が提示した三本の「改悔文」
第四節 旧刻「領解文」(天明四年版)の特徴
第五節 「跋文」の内容と功存の存在について
小 結
第五章 近世真宗教団と「改悔文」
第一節 問題の所在
第二節 「改悔文」の成立に関する諸説
第三節 光善寺模刻本に関する諸説の検討
第四節 「改悔文」作者としての蓮如説
小 結──「改悔文」の広まりについて
第六章 小児往生論の研究──名代だのみを中心として
第一節 問題の所在──小児往生と名代だのみ
第二節 プロトタイプとしての知空
第三節 名代だのみをめぐる諸説
第七章 近世における小児往生論の総括──論争の意義と課題
第一節 問題の所在
第二節 小児の年齢
第三節 小児往生の論理構造
第四節 他宗の説とさまざまな俗説への意識
第五節 本願寺、および能化の対応
第六節 門徒への対応と亡き子の受けとめ
小 結──まとめと課題
第八章 真宗史上における越後法論の位置づけ
第一節 問題の所在
第二節 事件の経緯
第三節 慧琳の裁定
第四節 教誡をめぐる論争──『評偽弁』と『弾評偽弁』
第五節 事件の背景──北越という地域性
小 結──越後法論の影響
第九章 占部観順事件の顛末──三業惑乱後の信願論として
第一節 問題の所在
第二節 事件の発端
第三節 騒動の拡大──一八八二(明治十五)年の対論
第四節 一等学師拝命と大学寮の教授就任
第五節 「御垂示」の下附
第六節 占部の「真宗大学」学監就任と白川党の運動
第七節 事件の最終局面──筆問筆答
小 結
第十章 真宗教学史における占部観順事件の意義──教学的論点の整理とその影響
第一節 問題の所在
第二節 筆問筆答(全三回)の概要
第三節 論争の注目点と影響
小 結
最後に
巻末資料
「改悔文」刊行年表
「改悔文」諸文集
参考文献一覧/初出一覧
あとがき
索引