能登の宗教・民俗の生成

著者 由谷 裕哉
出版社 桂書房
ジャンル 歴史・資料
出版年月日 2022/09/30
ISBN 9784866271231
判型・ページ数 A5・167ページ
定価 本体2,500円+税
在庫 在庫あり

本書は、近世に離山した石動山大蔵坊の里修験が在地の信仰生活にいかに根ざして影響を与えたかを考察する(鏑木)。日露戦後から1930年代までに能登に関して著された郷土研究のうち、宗教と民俗に関する言説を考察する(由谷)。口能登・氷見(富山)でみられる嫁が親の死去後に実家の檀那寺で行われる「コンゴウ」という法要に参加する習俗について、先行研究を踏まえながら考察する(本林)。重要無形民俗文化財である「気多の鵜祭」について、年占と位置づける観点がどのように登場したかを、古文書を網羅的に再検討する(干場)など、能登の宗教と民俗に関する事象あるいはその研究方法が新たに生成してきた事情に焦点を当てた。

緒論 能登の宗教・民俗に関する先行研究の代案を求めて
  由谷 裕哉
 変貌する能登と能登研究との乖離/能登の宗教・民俗に関するこれまで
 の研究/市町村史における民俗の記述と民俗文化財の指定/代案を求め
 て/本書収録論文について

能登国石動山大蔵坊の里修験 ― 加賀国宝光院(延寿寺)の事跡から―
  鏑木 紀彦
 一 はじめに 
 二 宝光院歴代(一)初代大蔵坊・二代秀船
 三 宝光院(延寿寺)歴代(二)三代鉄道・四代一道・五代了雲・六代
   文学・七代辨学・八代恵学
 四 宝光院(延寿寺)歴代(三)九代宣学(右門)・十代麻佐岐
 五 おわりに 

能登における郷土研究の目覚めから終焉まで ―宗教と民俗を中心に―
  由谷 裕哉
 一 問題の所在 
 二 東宮行啓から一九二〇年代までの能登における郷土研究の目覚めと
   進展 
 三 一九三〇年代の郷土教育関連テキストに描写された能登の宗教・民
   俗事象
 四 結び:郷土研究の時代とその終焉 

能登の真宗民俗と女性 ―嫁のコンゴウ参りを中心に―
  本林 靖久
 一 はじめに ―能登におけるコンゴウ参り― 
 二 コンゴウ参りの先行研究
 三 富山県氷見地方のコンゴウ参り
 四 氷見・能登の婚姻習俗と嫁の生活
 五 能登の真宗寺院とコンゴウ参り
 六 おわりに ―嫁の立場とコンゴウ参りの変化― 

鵜祭再考 ―古文書から「鵜祭=年占」説を問う―
  干場 辰夫
 一 はじめに 
 二 〈年占〉に関わる鵜祭研究の動向 
 三 近世初期までの文書 
 四 近世の地誌、紀行文等 
 六 近世末期の文書 
 七 結びにかえて 

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