死者と先祖の話 【角川選書595】

著者 山折 哲雄
出版社 KADOKAWA
ジャンル 民俗・信仰
シリーズ 角川選書
出版年月日 2017/12/22
ISBN 9784047035942
判型・ページ数 4-6・238ページ
定価 本体1,600円+税
在庫 お取り寄せ
都市化や延命長寿化がすすみ、人々と宗教との関わり方、寺院や墓のあり方が激変する時代、死を棚上げしたまま、無葬無墓・寺院消滅・脱宗教等の社会現象だけが肥大化してきている。日本人は死をどのように受け止めて、死者はどう供養され、先祖たちはどのように祀られてきたのか。そしていま、みずからや家族の死を、私たちはどのような形で迎えたらよいのか――。柳田国男『先祖の話』と折口信夫『死者の書』という、戦時下に著された二つの書をてがかりに、鎮魂・供養・往生・看取り等から、日本古来の信仰や死生観を見つめ直す。
序の長詩

第一章 戦後と東北
 『死者の書』と『先祖の話』
  身捨つるほどの祖国はありや
  東北――変わりゆく挽歌
  生者への励ましと慰めの歌
  内村鑑三、柳田国男の再評価
 「墳墓の地」とは何か
  頼山陽の山紫水明
 「死生観」のモデル

第二章 英霊と鎮魂
  『昭和万葉集』と原『万葉集』との落差
  肉・骨・霊の三位相
  『遠野物語』の蓮台野とダンノハナ
  霊場と道頓堀
  サンフランシスコに眠る下山逸蒼
  BC級戦犯と「愛の像」
  『世紀の遺書』に込めた懺悔

第三章 供養と骨
  霊魂をめぐる四つの柳田仮説
  折口信夫の「餓鬼阿弥蘇生譚」
  死者供養の救済システム
  餓鬼とは何か
  日本人の餓鬼観
  中原中也の「骨」
  殯とは何か
  仏舎利信仰

第四章 折口と柳田
  祟りとは何か
  『死者の書』前夜
  山越しの阿弥陀図
  死と蘇りの物語
  死者から死者への転生
  折口の「死者」から柳田の「先祖」へ
  柳田をめぐる三つの問い
  柳田の危機意識
  先祖とは何か

第五章 往生と看取り
  山岳信仰と万物生命観
  浄土である山頂に遺骨を納める
  「骨」の形而上学――芭蕉、一休、蓮如
  「東京だョおっ母さん」と「九段の母」
  英霊と遺骨をめぐる悲哀
  長寿化と死の恐怖
  死者のリアルを直視せよ源信――『往生要集』
  看取りと往生の実践――二十五三昧会
  死者から先祖へ――過去帳

第六章 死と生
  河鍋暁斎の衝撃
  暁斎がみた「死者」たち
  骸骨が意味するもの
  現代「九相図」からの異議申し立て
  東北再考
  今ふたたびの柳田と折口
  グレーゾーンの時代を生きる
  からだを土の中に埋めもどす
  『黒い雨』と「白骨の御文」

終の長詩
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