しあわせの宗教学

ウェルビーイング研究の視座から

宗教学の立場から、はじめて幸せの問題に切り込み、宗教が人を幸せにするとはどういうことなのかを多角的に問う、画期的な論集。

著者 櫻井 義秀
平藤 喜久子
川又 俊則
板井 正斉
片桐 資津子
猪瀬 優理
横山 忠範
稲本 琢仙
李 賢京
袴田 俊英
出版社 法藏館
ジャンル 哲学・思想 > 宗教総論
出版年月日 2018/01/20
ISBN 9784831857033
判型・ページ数 4-6・346ページ
定価 本体2,500円+税
在庫 在庫あり
近年のウェルビーイング研究の動向を踏まえ、宗教学の立場から、はじめて幸せの問題に切り込み、宗教が人を幸せにするとはどういうことなのかを問う、画期的な論集。

【各章の概要】
・国際比較からわかる日本人の幸せ感の特徴(第一章 櫻井)。
・神話の英雄がしあわせを与える?(第二章 平藤)。
・一つの教会、みんなの教会が支えるしあわせ(第三章 川又)
・地域の神社がもつ「しあわせ」観創出の潜在力(第四章 板井)
・尊厳死は幸せな最期か?(第五章 片桐)。
・創価学会信者が抱く幸せ感とは?(第六章 猪瀬)
・人間関係維持の鍵概念としての傾聴とボランティア(第七章 横山)
・寺院がはたす親子のウェルビーイング(第八章 稲本)
・セウォル号沈没事故にみる韓国宗教団体の実態(第九章 李)
・「お一人様化」時代に求められる寺院とは?(対談 櫻井・袴田)
・さまざまな幸福感調査に関わるデータから(付録 清水)

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簡単に言えば、宗教とは何かという数ある定義の一つに、「宗教を生きる人たちは幸せを求め、幸せ感を得ているようだ」という仮説を加えた上で、宗教が人を幸せにするということはどういうことなのかと、現代社会のさまざまな文脈の中で考えようということである。
近年、人々のウェルビーイング(主観的な幸せ感と客観的な生活の諸条件)を高めるために何が必要なのかと、さまざまな実践的・臨床的学問で論じられている。健康の維持、良好な人間関係、そして過不足ない経済生活がウェルビーイングの主たる三要素であることが広く知られている。では、病を得ていること、人間関係に悩んでいること、貧しさに喘いでいるという人たちは幸せになれないのか。不足が不足のままであれば幸せとは言えないというのが社会科学の診断である。ところが、不足とは考えずに前向きな人生観を持つ人たちも少なくない。現代のウェルビーイング研究では、人は何によって人生に対して前向きに歩めるようになるのかという大きな課題に直面している。日本ではそこに宗教観や宗教文化を持ち込む研究が少ない。それに対して海外では宗教が人々に希望を与える機能を大いに評価している。
本書もまた、ウェルビーイング研究の大きな流れのなかで人々の「しあわせ」を増進するためには私たちは何をすればよいのか、私たちは人生や社会のどういう側面に気づけばいいのかを考察したいと考えている。
(「はじめに」より)
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☆関連書籍
櫻井義秀・川又俊則編『人口減少社会と寺院――ソーシャル・キャピタルの視座から』(法藏館、2016年3月、3、240円〈税込〉)
はじめに(櫻井義秀)

日本人の幸福感と宗教(櫻井義秀)

しあわせの神話学――英雄が運ぶしあわせ(平藤喜久子)

信仰を支えあう幸せ――「協働」牧会による多世代地域間交流(川又俊則)

若者の地方移住に神社が創り出す新たな「しあわせ」観(板井正斉)

尊厳死は幸せな最期につながるか(片桐資津子)

「幸せ」をつなぐ――宗教にみるジェンダーとケイパビリティ(猪瀬優理)

孤立化社会における傾聴ボランティアの役割―止まり木と順送りの互助(横山忠範)

寺院は子どもの成長をどう助けられるか(稲本琢仙)

宗教は韓国人を幸せにするのか――「セウォル号沈没事故」を手がかりに(李 賢京)

【対談】人口減少時代における仏教の役割(櫻井義秀、袴田俊英)

おわりに(櫻井義秀)

執筆者一覧

【付録】幸福感に関する調査とデータ(清水香基)〔横組〕

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