近世浄土宗・時宗檀林史の研究

増上寺檀林および江戸檀林の影に隠れて等閑に付されてきた「田舎檀林」の実態解明と、檀林寺院経営の多様な側面を浮き彫りにする。

著者 長谷川 匡俊
出版社 法藏館
ジャンル 日本仏教 > 浄土宗系
出版年月日 2020/03/31
ISBN 9784831877345
判型・ページ数 A5・521ページ
定価 本体11,000円+税
在庫 在庫あり
近世中期以降における浄土宗関東十八檀林史と、同時期の時宗の学寮史の研究を意図。これまで増上寺檀林および江戸檀林の影に隠れて等閑に付されてきた「田舎檀林」の実態解明と、檀林寺院経営の多様な側面を浮き彫りにする。


第一部 関東浄土宗教団の末寺統制と地方檀林の歴史的展開

第一章 関東浄土宗教団の末寺統制と学寮運営
はじめに
一 本末組織の成立過
二 末寺統制と学寮運営
おわりに

第二章 下総国生実大巌寺檀林の学寮運営と民衆教化
一 学寮の実態
二 当山の運営組織と門前農民の保護と統制
三 民衆教化──祈?的性格への傾斜──
四 檀林住職(能化)の寺格意識と教化姿勢
五 檀林寺院をめぐる民衆教化の諸相──再説──
おわりに

第三章 常陸国江戸崎大念寺檀林の学寮運営と民衆教化
はじめに 
一 慶巌と大念寺の開創 
二 江戸中期の大念寺 
三 寺領経営と門前支配 
四 江戸後期の末寺統制 
五 大念寺檀林の組織と運営 
六 幕末期大念寺の民衆教化 
七 明治初年の大念寺経営の危機──むすびにかえて─―

第四章 武蔵国川越?馨寺檀林の学寮運営と教育の質をめぐる課題
はじめに
一 学寮数と所化数および学事暦について 
二 学寮の経営──主に人事をめぐって──
三 両安居法問および加行の実施状況からみえてくるもの 
おわりに 

第五章 常陸国瓜連常福寺檀林の学寮運営と本末関係の構造的特質
はじめに 
一 常福寺檀林史概観 
二 移転住職をめぐる末寺騒動 
三 月行事職推挙をめぐる大衆騒動 
四 その後の檀林の動向 
五 補  論──水戸藩の諸檀林──

補論1 地方檀林の経営体質をめぐる基礎情報──四檀林の所蔵史料から──
はじめに 
一 檀林の年中行事 
二 田舎檀林における寺領経営──門前・知行地との支配関係から── 
三 檀林財政についての基礎的把握 
四 檀林・末寺の住職についての規格 
五 末寺の窮乏と住職資格をめぐって 

補論2 檀林教育における法問と講釈
はじめに 
一 檀林教育における法問・講釈の性格と位置 
二 檀林の学年暦にみる法問・講釈 
三 法問の執行過程──出算から終則に至る──
四 「法問記」にみる法問の内容 
おわり

第二部 檀林修学者の「入寺帳」の分析からみえてくるもの

第一章 増上寺所蔵『入寺帳』と修学者数の動向

一 「入寺帳」の遺存状況 
二 入寺の種類 
三 入寺資格 
四 入寺の定員と時期 
五 入寺手続 
六 入寺者数の傾向 

第二章 光明寺所蔵『入寺帳』の分析からみた地方檀林の実況
はじめに 
一 光明寺『入寺帳』の史料的性格 
二 入寺数 
三 随身・追随身 
四 入寺月と入寺年齢 
五 学寮(主)と指南 
六 修学部年と消帳 
七 入寺者の出身地域別分布と檀林 
おわりに 

第三章 名越派二檀林の実況──江戸後期「入寺帳」の分析を通して──
一 名越派檀林について 
二 専称寺檀林の場合 
三 円通寺檀林の場合 
四 入寺者の傾向にみる名越派檀林の特徴 

第三部 時宗の学寮
第一章 学寮の設置と「大衆帳」からみえてくるもの
はじめに 
一 学寮の設置 
二 僧侶の統制と「大衆帳」 
三 学寮の実態──「大衆帳」の分析── 
おわりに 

第二章 学寮生活と僧侶の資格・昇進
一 学寮の実態──学寮生活── 
二 学寮間の転籍と四条派の掛錫 
三 位階昇進と住持成
おわりに 

付録 史料紹介 

結 語 

初出一覧
あとがき

寺名索引
人名索引

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