日本人の死生観【講談社学術文庫2687】

著者 五来 重
出版社 講談社
ジャンル 民俗・信仰
シリーズ 講談社学術文庫
出版年月日 2021/10/12
ISBN 9784065257494
判型・ページ数 文庫・285ページ
定価 本体1,110円+税
在庫 在庫あり
仏教学に民俗学の方法を接続し、日本人の宗教を深く掘り下げた五来重。本書は、厖大な著作を遺した宗教民俗学の巨人の「庶民宗教論」のエッセンスを知るのに最適な1冊である。

日本人の死生観とは、すぐに連想される「ハラキリ」や殉死など、武士道的なものだけではない。貴族や武士の死生観、いわば「菊と刀」ばかりでなく、「鍬」を持つ庶民の死生観は、一体どんなものだったのか。本書では、教祖・教理・教団から成る西洋起源の宗教や、文献研究と哲学的思弁にこだわる仏教学ではなく、仏教伝来以前からの霊魂観や世界観が息づく根源的な「庶民の死生観」を明らかにしていく。

著者によれば、庶民にとってあらゆる死者は一度は怨霊となる。それは鎮魂によって「恩寵をもたらす祖霊」に変えなくてはならない。そのための信仰習俗や儀礼の有様を探索し、日本列島を歩きに歩いた著者の視線は、各地に残る風葬や水葬の風習、恐山のイタコと円空仏、熊野の補陀落渡海、京都の御霊会、沖縄のイザイホウ、遠州大念仏、靖国神社などに注がれる。

巻末解説を、『聖地巡礼』『宗教と日本人』の著者・岡本亮輔氏(北海道大学准教授)が執筆。〔原本:角川書店、1994年刊〕

日本人の死生観


日本人と死後の世界
みちのくの神秘・恐山――その歴史と円空仏
口寄せ巫女


怨霊と鎮魂


死と信仰――補陀落渡海の謎
古来の葬送儀礼から見た現代の葬儀と葬具
仏檀


墓の話

解説(岡本亮輔)

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