話題の本【書評】(2024年9月~) - 2025.08.18
宗教遺産テクスト学の創成
また、一方で、人間と宇宙の根源的な在り方を規定する拠り所であるが故に、世界認識における解釈の対立を生じさせ、時には宗教間の軋轢や破壊を呼び起こすきっかけともなった。
「宗教遺産テクスト学」とは、人類によるあらゆる宗教所産を、多様な「記号」によって織りなされた「テクスト」とみなすことで、その構造と機能を統合的に解明し、人類知として再定義することを目的とし、「コト」と「モノ」を一体化する新たな学術領域である。
宗教遺産を人類的な営みとして横断的かつ俯瞰的に捉え、ひと・モノ・知の往来により生成・伝播・交流・集積を繰り返すその動態を、精緻なアーカイヴ化により知のプラットフォームを構築することで、多様性と多声性のなかに位置づける。
文理を超えた三篇七部、四十の論考により示される、人類の過去・現在・未来をつなぐ新視点。
第1部 源流と伝播のメカニズム―仏教文献・図像の源流および諸地域への伝播の解明
第2部 交流と集積の実態解明―東アジアにおける祈りの記録と記憶
第3部 日本における宗教美術の形成・伝来・復元
第2篇 多様性・多声性の解明
第4部 「文化遺産」と「宗教」の歴史と理論―「宗教遺産テクスト学」の基盤構築に向けて
第5部 宗教実践の多様性と遺産化をめぐる諸問題
第3篇 文理融合による新展開と未来への発信
第6部 文理融合型研究の新展開構築
第7部 宗教遺産先端アーカイヴ構築と発信