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論客ひしめく「宗教」概念研究の中で見過ごされた「信仰」概念の近代的形成過程を、「文明」「科学」「迷信」「支那仏教」などをめぐる仏教者・知識人の言説から初めて跡づけ、宗教史研究に新知見をもたらす画期的論考。
序 章
第一節 問題の所在
第二節 近代日本仏教史における「信仰」の語り方
第三節 宗教概念研究の展開と「信仰」
第四節 本書の対象と手法
第五節 本書の構成
第一章 「文明」の時代における「信」の位相─島地黙雷の宗教論を中心として─
はじめに
第一節 島地黙雷と明治初期の政教関係をめぐる先行研究
第二節 明治初期の啓蒙系雑誌から見た「信」の語り方
第三節 島地黙雷における護法論の展開─文明・道徳・国民教化─
第四節 国民教化における「信」の位相
おわりに
第二章 「仏教改良」と「信仰」─明治中期における仏教知識人の言説空間を中心に─
はじめに
第一節 僧侶による実践の「改良」─『令知会雑誌』から見る仏教改良論─
第二節 「旧仏教」と「新仏教」─『令知会雑誌』における仏教改良論の展開─
第三節 「仏教改良」と「信仰」─田島象二『仏教滅亡論』に着目して─
第四節 「黙従教」とキリスト教─「宗教」なる概念をめぐる論争─
おわりに
第三章 「迷信」と「信仰」のはざま─境野黄洋における「詩的仏教」の構想─
はじめに
第一節 明治期の「迷信」「妖怪」と宗教的真理
第二節 「詩的仏教」という発想─争点としての経典─
第三節 経典解釈への視座─仏教史研究の目的─
おわりに
第四章 「新仏教」とユニテリアン──広井辰太郎の信仰論を中心として─
はじめに
第一節 仏教とユニテリアン
第二節 新仏教徒とユニテリアンの対話
第三節 「智」と「信」の調和を求めて─広井辰太郎における「信仰」の位相─
第四節 加藤玄智の信仰論とユニテリアン
おわりに
第五章 「新仏教」の夜明け─雑誌『新仏教』における「信仰」言説─
はじめに
第一節 「健全なる信仰」の系譜─古河老川の「信仰」論─
第二節 世紀転換期における「信仰」の語り方
第三節 「健全なる信仰」の構築─精神主義とニーチェ主義への批判を題材に─
おわりに
第六章 「信仰」と「儀礼」の交錯─明治後期の姉崎正治と宗教学の成立に見る─
はじめに
第一節 宗教学と「修養」─世紀転換期における道徳的な宗教の探求─
第二節 姉崎正治『宗教学概論』における「信仰」と「儀礼」
第三節 姉崎正治の修養論─主我主義・他律主義・自律主義をめぐって─
おわりに
第七章 明治後期・大正期の「人格」と「信仰」─仏陀と阿弥陀仏をめぐる議論について─
はじめに
第一節 「偉人」としての釈迦の創出
第二節 「人格」と「信仰」の調和─井上円了と村上専精における「仏陀」─
第三節 釈迦と阿弥陀仏の問題─歴史的事実と非歴史的想像のはざま─
おわりに
第八章 日本仏教論における「信仰」─「他者」としての中国仏教と日本仏教の自己認識─
はじめに
第一節 「日本仏教」の誕生における「信仰」の位相─村上専精と鷲尾順敬の日本仏教論─
第二節 「新仏教」から「日本仏教」へ―境野黄洋における日本仏教論の展開─
第三節 「支那仏教」と「支那思想史」─「支那人論」への展開─
第四節 「他者」としての中国仏教─対華二十一カ条要求における布教権問題をめぐって─
おわりに
終 章
第一節 近代日本における「信仰」の歴史的展開
第二節 「信仰」と宗教概念
第三節 今後の展望
あとがき
索 引