新聞掲載広告(2024年9月~) - 2024.11.19
植民地朝鮮と日本仏教 【龍谷叢書31】
アジア布教は日本の敗戦後に途絶して、戦後も再開の気運が生じてこなかった。その原因には、敗戦による布教拠点の喪失や在留邦人の引き揚げ、アジア諸国との関係や現地の排日感情などもあろうが、それだけで説明がつく問題とも言えない。何よりも、日本仏教各宗派が、仏教思想の普遍性を根本から問いなおし、アジア諸国との対話・交流を重ねる努力を怠ってきた点に求められるべきであろう。本書は、日本仏教のアジア布教事業の実態解明と検証を試みた一冊である。
序 章
本論文執筆に至る経緯
本書の概要
アジア布教史研究の意義
第一章 明治前期・真宗大谷派の海外進出とその背景
─ 北海道開拓・欧州視察・アジア布教─
はじめに
一 日本仏教の海外布教への基本姿勢
日清戦争後の海外布教の立場
万国宗教会議への消極的姿勢
二 北海道開拓とその背景
『北海道百年』への大谷派関係の対応
大谷派関係者の北海道開拓観
北海道開拓着手の事情
北海道開拓の反響
三 宗派内の対立と欧州視察
旧家臣団と改革派との抗争
江藤新平への接近と現如の渡欧
欧州視察に関する先行研究
欧州視察の目的
本願寺派との認識の相違
四 江藤新平「対外策」と中国布教の開始
江藤新平「対外策」
江藤の渡欧要請の意図
伊地知正治と小栗栖香頂の中国渡航
大教院分離をめぐる宗派内対立
中国布教の本格始動
中国布教の目的とその実態
五 朝鮮布教開始とその後
朝鮮布教の着手と宗派の事情
政府側の朝鮮布教への期待
大谷派の親日派育成活動
大谷派朝鮮布教の挫折
おわりに
第二章 日蓮宗の初期朝鮮布教
─ 布教開始から僧尼入城解禁直後まで─
はじめに
一 日蓮宗の布教開始とその背景
朝鮮布教のはじまりと旭日苗
朝鮮布教開始の背景
日蓮宗教団改革の動向
宗内対立の経緯とその後
二 日宗海外宣教会と朝鮮布教の進展
旭日苗の布教意図
加藤文教と朝鮮僧侶教育計画
旭日苗の再渡航と海外宣教会の組織
日清戦争開戦と日蓮宗の対応
朝鮮布教をめぐる議論
三 佐野前励による僧侶入城の解禁とその後
佐野前励の朝鮮渡航のねらい
岡本柳之助の支援
佐野前励の活動と僧尼入城解禁
佐野前励の帰国後の状況
日本留学生・留学僧のその後
おわりに
第三章 朝鮮植民地化過程と日本仏教の布教活動
─ 日清戦争から初期の朝鮮総督府治政まで─
はじめに
一 日清戦争下での各宗派の動向
本願寺派・加藤恵証の朝鮮視察
慰問使・従軍布教使の派遣
従軍布教使の慈善活動
日清戦争期の朝鮮開教論
本願寺派の暗躍
大洲鐡然の朝鮮布教計画
二 日清戦争後における各宗派の朝鮮進出
在留邦人の増加と日本仏教の朝鮮進出
日清戦争直後の各宗の動向
反日義兵運動の高まりとその影響
反日運動沈静後の各宗の動向
浄土宗朝鮮布教の躍進
元興寺の創建と浄土宗への圧力
三 日露戦争後における朝鮮寺院の末寺化競争
日露戦争後の各宗の動向
浄土宗の朝鮮仏教支配の目論み
朝鮮寺院支配と統監府の対応
朝鮮寺院末寺化競争の激化
武田範之と円宗併合計画
四 朝鮮総督府の宗教行政と日本仏教
曹洞宗の「併合」計画と寺刹令
総督府の抑圧策と朝鮮人信徒の減少
在留邦人対象布教への転換
布教規則・神社寺院規則の制定
初期総督府の対仏教施策
おわりに
第四章 文化政治と朝鮮仏教界の動向
─朝鮮仏教団の活動を中心に─
はじめに
一 文化政治下での宗教政策の転換と朝鮮仏教界
三・一独立運動後の朝鮮仏教の動向
総督府の仏教施策と朝鮮仏教界の対立
中央教務院の設立
二 三・一運動後の日本仏教の対応
朝鮮人布教に向けた機運の高まり
仏教朝鮮協会の設立
仏教朝鮮協会の事業展開
仏教社会事業の推進
三 「内鮮融和」運動の組織化と朝鮮仏教大会
中村健太郎の経歴
同民会の設立
朝鮮仏教大会の設立
四 日本政財界の支援と朝鮮仏教団への改組
財団法人化に向けた機構整備
日本政財界・日本仏教界の支援
財団法人朝鮮仏教団への改組
朝鮮仏教団の事業実態
三浦参玄洞の文化政治批判
五 朝鮮仏教大会の開催とその反響
朝鮮仏教大会計画の浮上
大会の開催意図と朝鮮仏教側の反応
朝鮮仏教大会の開催
朝鮮仏教大会の反響
朝鮮仏教普及会の結成
おわりに
第五章 一九三〇年代朝鮮総督府の宗教施策と日本仏教
─ 心田開発運動と真宗大谷派の動向を中心に─
はじめに
一 朝鮮仏教界の停滞
日本仏教・朝鮮仏教の朝鮮人信徒数の推移
大谷派と本願寺派の教勢
二 大谷派の教勢挽回に向けた施策
大谷派法主夫妻の朝鮮巡教
朝鮮人布教者の登用と開教団総会
朝鮮人布教者の養成
三 心田開発運動とその展開
宇垣総督と国民精神作興運動
心田開発運動の始動
心田開発運動の展開と敬神思想
心田開発運動への批判
四 国民総動員体制と大谷派の動向
心田開発運動と大谷派の対応
日中戦争下での皇民化施策と宗教対策
弥陀教の集団帰属
『朝鮮の類似宗教』刊行とその影響
弥陀教集団帰属の背景
おわりに
第六章 巖常圓と大聖教会
はじめに
一 巖常圓の経歴と朝鮮渡航の経緯
巖常圓の修学状況
武田篤初の朝鮮布教計画
朝鮮渡航とその後の常圓
二 大聖教会の設立とその布教活動
巖常圓の慶尚南北道での事業
本願寺派の朝鮮進出
大聖教会の設立とその活動
大聖教会の発展
三 韓国併合後の状況の変化と巖常圓の対応
巖常圓の引退と韓国併合の影響
本願寺派の方針転換と大聖教会の衰退
教誨師としての巖常圓
おわりに
あとがき
索引
本論文執筆に至る経緯
本書の概要
アジア布教史研究の意義
第一章 明治前期・真宗大谷派の海外進出とその背景
─ 北海道開拓・欧州視察・アジア布教─
はじめに
一 日本仏教の海外布教への基本姿勢
日清戦争後の海外布教の立場
万国宗教会議への消極的姿勢
二 北海道開拓とその背景
『北海道百年』への大谷派関係の対応
大谷派関係者の北海道開拓観
北海道開拓着手の事情
北海道開拓の反響
三 宗派内の対立と欧州視察
旧家臣団と改革派との抗争
江藤新平への接近と現如の渡欧
欧州視察に関する先行研究
欧州視察の目的
本願寺派との認識の相違
四 江藤新平「対外策」と中国布教の開始
江藤新平「対外策」
江藤の渡欧要請の意図
伊地知正治と小栗栖香頂の中国渡航
大教院分離をめぐる宗派内対立
中国布教の本格始動
中国布教の目的とその実態
五 朝鮮布教開始とその後
朝鮮布教の着手と宗派の事情
政府側の朝鮮布教への期待
大谷派の親日派育成活動
大谷派朝鮮布教の挫折
おわりに
第二章 日蓮宗の初期朝鮮布教
─ 布教開始から僧尼入城解禁直後まで─
はじめに
一 日蓮宗の布教開始とその背景
朝鮮布教のはじまりと旭日苗
朝鮮布教開始の背景
日蓮宗教団改革の動向
宗内対立の経緯とその後
二 日宗海外宣教会と朝鮮布教の進展
旭日苗の布教意図
加藤文教と朝鮮僧侶教育計画
旭日苗の再渡航と海外宣教会の組織
日清戦争開戦と日蓮宗の対応
朝鮮布教をめぐる議論
三 佐野前励による僧侶入城の解禁とその後
佐野前励の朝鮮渡航のねらい
岡本柳之助の支援
佐野前励の活動と僧尼入城解禁
佐野前励の帰国後の状況
日本留学生・留学僧のその後
おわりに
第三章 朝鮮植民地化過程と日本仏教の布教活動
─ 日清戦争から初期の朝鮮総督府治政まで─
はじめに
一 日清戦争下での各宗派の動向
本願寺派・加藤恵証の朝鮮視察
慰問使・従軍布教使の派遣
従軍布教使の慈善活動
日清戦争期の朝鮮開教論
本願寺派の暗躍
大洲鐡然の朝鮮布教計画
二 日清戦争後における各宗派の朝鮮進出
在留邦人の増加と日本仏教の朝鮮進出
日清戦争直後の各宗の動向
反日義兵運動の高まりとその影響
反日運動沈静後の各宗の動向
浄土宗朝鮮布教の躍進
元興寺の創建と浄土宗への圧力
三 日露戦争後における朝鮮寺院の末寺化競争
日露戦争後の各宗の動向
浄土宗の朝鮮仏教支配の目論み
朝鮮寺院支配と統監府の対応
朝鮮寺院末寺化競争の激化
武田範之と円宗併合計画
四 朝鮮総督府の宗教行政と日本仏教
曹洞宗の「併合」計画と寺刹令
総督府の抑圧策と朝鮮人信徒の減少
在留邦人対象布教への転換
布教規則・神社寺院規則の制定
初期総督府の対仏教施策
おわりに
第四章 文化政治と朝鮮仏教界の動向
─朝鮮仏教団の活動を中心に─
はじめに
一 文化政治下での宗教政策の転換と朝鮮仏教界
三・一独立運動後の朝鮮仏教の動向
総督府の仏教施策と朝鮮仏教界の対立
中央教務院の設立
二 三・一運動後の日本仏教の対応
朝鮮人布教に向けた機運の高まり
仏教朝鮮協会の設立
仏教朝鮮協会の事業展開
仏教社会事業の推進
三 「内鮮融和」運動の組織化と朝鮮仏教大会
中村健太郎の経歴
同民会の設立
朝鮮仏教大会の設立
四 日本政財界の支援と朝鮮仏教団への改組
財団法人化に向けた機構整備
日本政財界・日本仏教界の支援
財団法人朝鮮仏教団への改組
朝鮮仏教団の事業実態
三浦参玄洞の文化政治批判
五 朝鮮仏教大会の開催とその反響
朝鮮仏教大会計画の浮上
大会の開催意図と朝鮮仏教側の反応
朝鮮仏教大会の開催
朝鮮仏教大会の反響
朝鮮仏教普及会の結成
おわりに
第五章 一九三〇年代朝鮮総督府の宗教施策と日本仏教
─ 心田開発運動と真宗大谷派の動向を中心に─
はじめに
一 朝鮮仏教界の停滞
日本仏教・朝鮮仏教の朝鮮人信徒数の推移
大谷派と本願寺派の教勢
二 大谷派の教勢挽回に向けた施策
大谷派法主夫妻の朝鮮巡教
朝鮮人布教者の登用と開教団総会
朝鮮人布教者の養成
三 心田開発運動とその展開
宇垣総督と国民精神作興運動
心田開発運動の始動
心田開発運動の展開と敬神思想
心田開発運動への批判
四 国民総動員体制と大谷派の動向
心田開発運動と大谷派の対応
日中戦争下での皇民化施策と宗教対策
弥陀教の集団帰属
『朝鮮の類似宗教』刊行とその影響
弥陀教集団帰属の背景
おわりに
第六章 巖常圓と大聖教会
はじめに
一 巖常圓の経歴と朝鮮渡航の経緯
巖常圓の修学状況
武田篤初の朝鮮布教計画
朝鮮渡航とその後の常圓
二 大聖教会の設立とその布教活動
巖常圓の慶尚南北道での事業
本願寺派の朝鮮進出
大聖教会の設立とその活動
大聖教会の発展
三 韓国併合後の状況の変化と巖常圓の対応
巖常圓の引退と韓国併合の影響
本願寺派の方針転換と大聖教会の衰退
教誨師としての巖常圓
おわりに
あとがき
索引