はじまりと終わりのない四国遍路は、平和・平等・自由を表わした縄文時代の円環・渦巻紋様に通じる。四国六番札所安楽寺の住職が、四国遍路の歴史と思想を、自分を見つめ本当の自分を知る日本列島土着の宗教文化と語る書。
発刊に寄せて/笠谷覚真
序
第一部 四国遍路の歴史と先達たち
第一章 四国は〝お四国〟
1…山林抖擻と邊地の修行
2…文明を拒否して原始に帰る
3…お大師さまと〝お四国〟
第二章 〝お四国〟の歴史を刻んだ人びと
1…平安時代後期~鎌倉時代初期
2…鎌倉時代~室町時代
3…戦国時代~江戸時代
第三章 現在につながる四国遍路の系譜
1…神仏分離令と四国遍路
2…念仏行者・中務茂兵衛
3…松浦武四郎の『四國遍路道中雑誌』
4…四国遍路の功徳――救われた人びと
5…空虚な心を満たすもの
第二部 通過儀礼としての四国遍路
第一章 縄文時代の通過儀礼を今に伝える四国遍路
1…四国遍路の「遍路」の語源は「邊地(辺地)」
2…辺地修行とご入定
3…大国主の神話
4…〝飲み込み龍〟と通過儀礼
5…ギリシャ神話イアソンの冒険
第二章 通過儀礼と弘法大師
1…仏教の日本列島への伝来
2…土着の宗教の中にこそ真の宗教がある
3…通過儀礼(イニシエーション)と弘法大師
4…成人通過儀礼と菩薩
第三部 円環型巡礼に行きつく弘法大師の思想と書
第一章 般若心経から円環型巡礼・四国八十八ヶ所へ
1…般若心経と四国遍路
2…輪円具足とお四国
3…般若心経から空へ
4…円環型の巡礼・四国八十八ヶ所へ
5…灌頂施とは
第二章 円環の道・四国八十八ヶ所
1…円環構造の四国遍路はいかに形成されたか
2…円環の道・四国遍路の核心
3…四国遍路から見た世界の新石器時代のサイン
4…円環・渦巻の思想の最終形態である四国八十八ヶ所
5…四国八十八ヶ所の起源と開創説
第三章 輪円具足=円環・渦巻の思想を「書」という型にした弘法大師
1…『聾瞽指帰』
2…益田池の碑銘
3…「風信帖」
4…「灌頂記」
5…「狸毛筆奉献表」
6…「鳥獣飛白十如是」
7…「崔子玉座右銘」
8…「四体心経」
9…「十喩詩跋尾」
10…弘法大師の書と火焰式縄文土器を結ぶ
11…「真言七祖像賛幷行状文」
第四部 四国遍路からみた地球規模の宗教文化
1…縄文時代からの宗教文化
2…キリスト教のヨーロッパへの伝来
3…聖職者の結婚の禁止
4…四国遍路からみたキリスト教・イスラム教
5…九世紀の世界の都市は東アジアと西アジア
6…キリスト教の五本山の形成
7…四国遍路からみたヨーロッパの「ルネサンス」
8…四国八十八ヶ所の現在
補論 大楽金剛不空三昧論
四国八十八ヶ所霊場年表(四国へんろの春秋Ⅰ)
あとがき